
1月18日(土)、ブルームフィールドヒルズ市にある教会Congregational Church of Birminghamにて、同教会主催によるベネフィットコンサートが開かれた。9歳のピアニスト山口奈央未さんのソロ演奏を中心に、奈央未さんの音楽教師とのデュエット(連弾)や、その教え子である若者との室内楽を届けた。土曜日の3時開演とあり、日本語補習授業校に通う子どもや親には難しい設定。観客数が懸念されたが、蓋を開けてみれば、会場の礼拝堂は開演前に満杯になり、途中で「席を詰めて」とのアナウンスが入ったほど大盛況を収め、大勢の観客が美しい調べに身をゆだねた。奈央未さんが作曲したピアノ組曲の演奏もあり、その類まれな才能に称賛が集まった。
開演に際して、今回オーガナイザーを務めた宮崎京子さんが、9歳にして才能あふれるピアニストを迎えて演奏会をもてる喜びを伝えた後、奈央未さんのバックグラウンドを簡単に紹介した。父親はエンジニア、母親は栄養士という、音楽家ではない家庭に生まれながら天性といえる技量を備え、既に多くの受賞経験がある。まだ7歳であった2011年には、音楽の殿堂といわれるニューヨークのカーネギーホールでのデビューを果たした。これは、インターナショナル・ヤングミュージシャンコンクールにて優勝した少年少女に与えられた栄誉ある貴重な演奏機会で、奈央未さんは2度の舞台を飾った。
演奏前には奈央未さん自身が大人顔負けの明朗な英語で、企画の関係者と来訪者への御礼の言葉と演奏曲目の紹介を伝えた。演奏前から、その礼儀正しさと愛らしさが観客の微笑みを引き出していた。
演奏の幕開けはバッハのフランス組曲第5番ト長調。巧みな指使いと美しい音に、会場にため息や称賛の囁きが漏れわたった。
曲調の為か、やや硬さを感じた1曲目であったが、ベートーベン、シューベルトの曲と続いて、滑らかさとダイナミックさが増し、豊かな音の世界を創り上げていった。
インターミッションの後、音楽教師であるMs.Rollinが奈央未さんの素養についてコメントを伝えた。技術面はもとより、美しい表現力が素晴らしいと称えた。
“モーメント”の捉え方が見事なのだそうだ。
バイオリンとチェロを加えた室内三重奏では、リラックスして年上の音楽仲間との共演をエンジョイしている様子が窺えた。Ms.Rollinが自身の作曲によるピアノデュエット曲を奈央未さんとともに華麗に演奏した後、奈央未さんが作曲した‘Cinderella Suite(シンデレラ・スイート)’を自身の演奏で披露。この曲は1楽章:Grand Waltz、2楽章:Midnight Rhapsody、3楽章:The Wish Comes Trueの組曲になっている。各題名に相応しい場面が生き生きと表現され、驚きを交えた称賛の声が集まった。奈央未さんは、昨年作曲した“Rainbow Fantasy”で、若手作曲コンテストの全米1位を獲得している。
終盤は、奈央未さんが一番好きだというショパンの曲を滑らかなタッチで優雅に弾きこなし、聴衆をうっとりとさせた。最後の一音が響き渡るやいなや、観客は立ち上がり盛大な拍手を贈った。
演奏後にはリフレッシュメントが供され、和やかな歓談の時間になった。主役の奈央未さんは観客の引っ張りだこで、讃辞や質問のシャワーを浴びたが、物おじすることなく対応していた。
演奏中の神がかったほどの気迫に満ちた姿とはうって変わったあどけない笑顔を振りまいていた。米人の男性は「天使のよう。幸せにしてくれた」と笑顔でコメント。奈央未さんの演奏を何回も見聞きしてきた日本人女性は「身近なお子さんがこんなに才能に溢れていて、とても幸せ。これからも楽しみです」と目を細めて話す。「奈央未さんはコミュニティーの宝」との声も聞こえた。
御両親の話では、奈央未さんは3歳で自分からピアノに興味を示し、ピアノの前に座ると人が変わったように長いこと夢中になって弾いていたとのこと。自分で昼寝の時間を選んで準備をしたほど意志がはっきりしている自立した子であったそうだ。 奈央未さんは「皆さんが親切な言葉をかけて下さり本当に嬉しかった。これからも聴いた人が幸せになるようなピアノの演奏をしたい」と話し、公共施設での演奏を積極的にこなしていく予定だそうだ。成長を見守りたい。
来たる3月30日にはデトロイト・シンフォニー・オーケストラホールで、奈央未さんにスカラシップを贈っているピアニストMr. James Tatum主催によるベネフィットコンサートで、最年少出演者としてソロ演奏をする予定が決まっている。
【略歴】ミシガン州ローチェスターヒルズ市生まれ。3歳よりリトミックやピアノを楽しむ教室に通い、6歳よりプライベートレッスンを Catherine Rollin氏に師事。7歳の時にカーネギーホールで演奏。州内外、国際コンクールで賞を受賞。9歳でDr. Daniels指揮の下、モーツアルトの協奏曲K488をオーケストラと共演。作曲ではNational Federation Music主催コンクールで全米一位。ピアノに魅せられ、ピアノの感動を伝える活動を子供美術館、病院、シニアセンターなどで行い、ローチェスターヒルズ市より表彰される。これまでに、ヤング亜矢子氏、近藤真子氏に師事。
写真提供:山口氏
1月18日(土)、ブルームフィールドヒルズ市にある教会Congregational Church of Birminghamにて、同教会主催によるベネフィットコンサートが開かれた。9歳のピアニスト山口奈央未さんのソロ演奏を中心に、奈央未さんの音楽教師とのデュエット(連弾)や、その教え子である若者との室内楽を届けた。土曜日の3時開演とあり、日本語補習授業校に通う子どもや親には難しい設定。観客数が懸念されたが、蓋を開けてみれば、会場の礼拝堂は開演前に満杯になり、途中で「席を詰めて」とのアナウンスが入ったほど大盛況を収め、大勢の観客が美しい調べに身をゆだねた。奈央未さんが作曲したピアノ組曲の演奏もあり、その類まれな才能に称賛が集まった。
開演に際して、今回オーガナイザーを務めた宮崎京子さんが、9歳にして才能あふれるピアニストを迎えて演奏会をもてる喜びを伝えた後、奈央未さんのバックグラウンドを簡単に紹介した。父親はエンジニア、母親は栄養士という、音楽家ではない家庭に生まれながら天性といえる技量を備え、既に多くの受賞経験がある。まだ7歳であった2011年には、音楽の殿堂といわれるニューヨークのカーネギーホールでのデビューを果たした。これは、インターナショナル・ヤングミュージシャンコンクールにて優勝した少年少女に与えられた栄誉ある貴重な演奏機会で、奈央未さんは2度の舞台を飾った。
演奏前には奈央未さん自身が大人顔負けの明朗な英語で、企画の関係者と来訪者への御礼の言葉と演奏曲目の紹介を伝えた。演奏前から、その礼儀正しさと愛らしさが観客の微笑みを引き出していた。
演奏の幕開けはバッハのフランス組曲第5番ト長調。巧みな指使いと美しい音に、会場にため息や称賛の囁きが漏れわたった。
曲調の為か、やや硬さを感じた1曲目であったが、ベートーベン、シューベルトの曲と続いて、滑らかさとダイナミックさが増し、豊かな音の世界を創り上げていった。
インターミッションの後、音楽教師であるMs.Rollinが奈央未さんの素養についてコメントを伝えた。技術面はもとより、美しい表現力が素晴らしいと称えた。
“モーメント”の捉え方が見事なのだそうだ。
バイオリンとチェロを加えた室内三重奏では、リラックスして年上の音楽仲間との共演をエンジョイしている様子が窺えた。Ms.Rollinが自身の作曲によるピアノデュエット曲を奈央未さんとともに華麗に演奏した後、奈央未さんが作曲した‘Cinderella Suite(シンデレラ・スイート)’を自身の演奏で披露。この曲は1楽章:Grand Waltz、2楽章:Midnight Rhapsody、3楽章:The Wish Comes Trueの組曲になっている。各題名に相応しい場面が生き生きと表現され、驚きを交えた称賛の声が集まった。奈央未さんは、昨年作曲した“Rainbow Fantasy”で、若手作曲コンテストの全米1位を獲得している。
終盤は、奈央未さんが一番好きだというショパンの曲を滑らかなタッチで優雅に弾きこなし、聴衆をうっとりとさせた。最後の一音が響き渡るやいなや、観客は立ち上がり盛大な拍手を贈った。
演奏後にはリフレッシュメントが供され、和やかな歓談の時間になった。主役の奈央未さんは観客の引っ張りだこで、讃辞や質問のシャワーを浴びたが、物おじすることなく対応していた。
演奏中の神がかったほどの気迫に満ちた姿とはうって変わったあどけない笑顔を振りまいていた。米人の男性は「天使のよう。幸せにしてくれた」と笑顔でコメント。奈央未さんの演奏を何回も見聞きしてきた日本人女性は「身近なお子さんがこんなに才能に溢れていて、とても幸せ。これからも楽しみです」と目を細めて話す。「奈央未さんはコミュニティーの宝」との声も聞こえた。
御両親の話では、奈央未さんは3歳で自分からピアノに興味を示し、ピアノの前に座ると人が変わったように長いこと夢中になって弾いていたとのこと。自分で昼寝の時間を選んで準備をしたほど意志がはっきりしている自立した子であったそうだ。 奈央未さんは「皆さんが親切な言葉をかけて下さり本当に嬉しかった。これからも聴いた人が幸せになるようなピアノの演奏をしたい」と話し、公共施設での演奏を積極的にこなしていく予定だそうだ。成長を見守りたい。
来たる3月30日にはデトロイト・シンフォニー・オーケストラホールで、奈央未さんにスカラシップを贈っているピアニストMr. James Tatum主催によるベネフィットコンサートで、最年少出演者としてソロ演奏をする予定が決まっている。
【略歴】ミシガン州ローチェスターヒルズ市生まれ。3歳よりリトミックやピアノを楽しむ教室に通い、6歳よりプライベートレッスンを Catherine Rollin氏に師事。7歳の時にカーネギーホールで演奏。州内外、国際コンクールで賞を受賞。9歳でDr. Daniels指揮の下、モーツアルトの協奏曲K488をオーケストラと共演。作曲ではNational Federation Music主催コンクールで全米一位。ピアノに魅せられ、ピアノの感動を伝える活動を子供美術館、病院、シニアセンターなどで行い、ローチェスターヒルズ市より表彰される。これまでに、ヤング亜矢子氏、近藤真子氏に師事。
写真提供:山口氏