お寒うございます。今時こんな挨拶をする人は日本でも余り居ないかもしれませんね。以前メールで一度使ったら「そんな挨拶もありましたね」と懐かしがられてしまいました。当地デトロイト地区の単月度の降雪量としては新記録となった1月がようやく終わったと思ったら、2月も初日から雪で始まりました。年明けからずっと「お寒うございます」の挨拶が似合う毎日です。1月末日に久し振りに最高気温が氷点を超えた時には極寒に慣れてしまった身体が「今日は暖かい」と感じる始末でした。慣れとは恐ろしいものです。

 この原稿は米国スポーツ界最大のイベントであるスーパー・ボウルの前日に仕上げましたので、現時点では試合結果が出ておりませんが、はてさて結果は如何に?デンバー・ブロンコスのベテランQBペイトン・マニングが史上初めて2つの異なるチームで優勝を飾る先発QBとなるか?シーズン初めは無名に近かった新鋭QBラッセル・ウィルソンを擁するシアトル・シーホークスが番狂わせを演じてヘッドコーチのピート・キャロルにUSC時代のBCS大学選手権優勝に加えてプロフットボールでも最高の栄誉をプレゼント出来るかどうか?新旧QBの対決に加えて今期最強のブロンコス攻撃陣と同じく最強のシーホークス守備陣の対決も見ものです。今回極寒の屋外での試合になるためスノーボウルとかアイスボウルとも呼ばれる大一番。悪条件では往々にして派手な攻撃が思うように行かず、地味な守備の堅いチームが少ない得点で勝利するパターンが過去にもありますが、午年の今年はブロンコスが大量得点でゴールを駆け抜けるか、あるいはシーホークスが僅差の勝利となるフィールド・ゴールで舞い上がるか?最終結果は・・・?

 続いてロシアでソチ冬季五輪が始まりますが、関係者や観戦者、一般市民の皆さんに反政府テログループによる不幸な事件・事故が起きない事を願うばかりです。

日本代表選手達の安全と活躍を祈りましょう。

さて、今回は『慣れとは恐ろしい』というテーマです。

 日系企業が米国を中心とした北米に本格的な進出を始めてから既に30年余りにもなりますが、裾野の広い自動車関連メーカーは米国自動車産業の発祥と発展のお膝元であるミシガン州は元より今や全米各地およびカナダ、メキシコにも広く展開しています。

 日本は第二次世界大戦後の奇跡的な経済復興に続いて80年代半ばから90年代初めに掛けてはバブル景気の最盛期を迎え、世界経済の中でジャパン・アズ・ナンバーワンとも評される程強烈な存在感を示し、技術開発・品質管理・生産方式などの領域で「日本に学べ」と全世界から注目を浴びていました。残念ながらその後所謂『失われた10年』とも20年とも言われる停滞期が続き、ゼロないしマイナス成長、超低金利下でのデフレ経済で負のスパイラルに陥り、日本と日本人全体に一頃の元気がなくなってしまった感がありました。昨年から始まった新アベノミクスの効果でプラス成長、デフレからインフレへの回帰が見え始めましたが、消費税率引き上げ、各種補助金打ち切りまたは減額などでアベノミクスならぬアベノリスクの懸念と背中合わせの危うさも同時に持ち合わせています。

 日本本国を飛び出して米国に進出後25年から30年も経った日系企業の現状はどうなのでしょうか?もう3年近くも前の事になる東北大震災とタイの大洪水の影響で原材料・資材・部品不足、生産能力低下、新規技術開発の遅れ、完成車供給減少などの理由でリーマンショックから回復を見せ始めていた北米市場および世界市場で日系メーカーは大きく遅れを取り、欧米や韓国メーカーにマーケットシェアをかなり食われてしまいました。

 一昨年後半辺りから何とか日本国内およびタイの原材料・部品供給と北米の完成車生産態勢が整うとともに少しずつ盛り返し、昨年は生産・販売とも増加してマーケットシェアも回復しつつありますが、中国市場と共に世界中の自動車メーカーが凌ぎを削る北米市場で優位を保つのは容易ではありません。

 原材料・部品の北米現地調達化、生産・設計・技術開発の現地化の掛け声と共に全米各地に工場、製造・加工拠点、研究開発センターなどが次々と開設、稼動しておりますが、日本国内に比べてまだまだ定着、本格化されていないようです。特に大半を占める米人(というと語弊があるので現地採用の)従業員を使って仕事を進めるという点においては、人事戦略・計画・管理、求人採用、教育指導・トレーニング、方針・意志伝達、コミュニケーションなどの領域で日本本社と米国子会社・関連会社間、米国内グループ会社間、客先・取引先とのコミュニケーションや実務遂行上必ずしもスムースに事が運ばれていないようです。

 つい最近も北米進出30年にもなる某ティアワン・サプライヤーに勤務している方から「日本本社とのTV会議の席で本社の重役が頭ごなしに米人を怒鳴りつける有様で、米人達が今は誰も出席しなくなってしまった」とか「新規開発や製品立ち上げ時の問題・不具合、納期遅れ発生時に部門間の責任のなすり合い、いがみ合いで話し合って協力して問題解決が出来ない」、あるいは「日本人と米人のコミュニケーションがなく、それぞれ勝手な事をやっている」というお話を伺って、日本の本社も米国子会社も未だにそんな状態なのかと驚いた次第です。

 本社の重役さん、きっと日本のバブルの頃の甘い成功体験が忘れられず、その頃と同じ調子で日本人の部下に指図したり怒鳴りつける習慣が抜けず、米国子会社の現場の状況も良く分からないままTV会議で頭ごなしに米人を怒鳴りつけてしまったのでしょう。同じ様に米国駐在中の日本人メンバーも米人に分かりやすくきちんと説明したり、じっくり意見を聞いて話し合う時間も気力もなく日本的な『阿吽の呼吸』で仕事を進めるやり方になってしまったのでしょう。全く慣れとは恐ろしい。

 他の多くの会社ではそんな事にはなっていないと思いたいですが、皆さん、ここはアメリカです。ブラックな部分の日本社会の慣れ、日本人間の慣れをそのまま持ち込んで無理矢理米人に押し付けないようにお願いします。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 お寒うございます。今時こんな挨拶をする人は日本でも余り居ないかもしれませんね。以前メールで一度使ったら「そんな挨拶もありましたね」と懐かしがられてしまいました。当地デトロイト地区の単月度の降雪量としては新記録となった1月がようやく終わったと思ったら、2月も初日から雪で始まりました。年明けからずっと「お寒うございます」の挨拶が似合う毎日です。1月末日に久し振りに最高気温が氷点を超えた時には極寒に慣れてしまった身体が「今日は暖かい」と感じる始末でした。慣れとは恐ろしいものです。

 この原稿は米国スポーツ界最大のイベントであるスーパー・ボウルの前日に仕上げましたので、現時点では試合結果が出ておりませんが、はてさて結果は如何に?デンバー・ブロンコスのベテランQBペイトン・マニングが史上初めて2つの異なるチームで優勝を飾る先発QBとなるか?シーズン初めは無名に近かった新鋭QBラッセル・ウィルソンを擁するシアトル・シーホークスが番狂わせを演じてヘッドコーチのピート・キャロルにUSC時代のBCS大学選手権優勝に加えてプロフットボールでも最高の栄誉をプレゼント出来るかどうか?新旧QBの対決に加えて今期最強のブロンコス攻撃陣と同じく最強のシーホークス守備陣の対決も見ものです。今回極寒の屋外での試合になるためスノーボウルとかアイスボウルとも呼ばれる大一番。悪条件では往々にして派手な攻撃が思うように行かず、地味な守備の堅いチームが少ない得点で勝利するパターンが過去にもありますが、午年の今年はブロンコスが大量得点でゴールを駆け抜けるか、あるいはシーホークスが僅差の勝利となるフィールド・ゴールで舞い上がるか?最終結果は・・・?

 続いてロシアでソチ冬季五輪が始まりますが、関係者や観戦者、一般市民の皆さんに反政府テログループによる不幸な事件・事故が起きない事を願うばかりです。

日本代表選手達の安全と活躍を祈りましょう。

さて、今回は『慣れとは恐ろしい』というテーマです。

 日系企業が米国を中心とした北米に本格的な進出を始めてから既に30年余りにもなりますが、裾野の広い自動車関連メーカーは米国自動車産業の発祥と発展のお膝元であるミシガン州は元より今や全米各地およびカナダ、メキシコにも広く展開しています。

 日本は第二次世界大戦後の奇跡的な経済復興に続いて80年代半ばから90年代初めに掛けてはバブル景気の最盛期を迎え、世界経済の中でジャパン・アズ・ナンバーワンとも評される程強烈な存在感を示し、技術開発・品質管理・生産方式などの領域で「日本に学べ」と全世界から注目を浴びていました。残念ながらその後所謂『失われた10年』とも20年とも言われる停滞期が続き、ゼロないしマイナス成長、超低金利下でのデフレ経済で負のスパイラルに陥り、日本と日本人全体に一頃の元気がなくなってしまった感がありました。昨年から始まった新アベノミクスの効果でプラス成長、デフレからインフレへの回帰が見え始めましたが、消費税率引き上げ、各種補助金打ち切りまたは減額などでアベノミクスならぬアベノリスクの懸念と背中合わせの危うさも同時に持ち合わせています。

 日本本国を飛び出して米国に進出後25年から30年も経った日系企業の現状はどうなのでしょうか?もう3年近くも前の事になる東北大震災とタイの大洪水の影響で原材料・資材・部品不足、生産能力低下、新規技術開発の遅れ、完成車供給減少などの理由でリーマンショックから回復を見せ始めていた北米市場および世界市場で日系メーカーは大きく遅れを取り、欧米や韓国メーカーにマーケットシェアをかなり食われてしまいました。

 一昨年後半辺りから何とか日本国内およびタイの原材料・部品供給と北米の完成車生産態勢が整うとともに少しずつ盛り返し、昨年は生産・販売とも増加してマーケットシェアも回復しつつありますが、中国市場と共に世界中の自動車メーカーが凌ぎを削る北米市場で優位を保つのは容易ではありません。

 原材料・部品の北米現地調達化、生産・設計・技術開発の現地化の掛け声と共に全米各地に工場、製造・加工拠点、研究開発センターなどが次々と開設、稼動しておりますが、日本国内に比べてまだまだ定着、本格化されていないようです。特に大半を占める米人(というと語弊があるので現地採用の)従業員を使って仕事を進めるという点においては、人事戦略・計画・管理、求人採用、教育指導・トレーニング、方針・意志伝達、コミュニケーションなどの領域で日本本社と米国子会社・関連会社間、米国内グループ会社間、客先・取引先とのコミュニケーションや実務遂行上必ずしもスムースに事が運ばれていないようです。

 つい最近も北米進出30年にもなる某ティアワン・サプライヤーに勤務している方から「日本本社とのTV会議の席で本社の重役が頭ごなしに米人を怒鳴りつける有様で、米人達が今は誰も出席しなくなってしまった」とか「新規開発や製品立ち上げ時の問題・不具合、納期遅れ発生時に部門間の責任のなすり合い、いがみ合いで話し合って協力して問題解決が出来ない」、あるいは「日本人と米人のコミュニケーションがなく、それぞれ勝手な事をやっている」というお話を伺って、日本の本社も米国子会社も未だにそんな状態なのかと驚いた次第です。

 本社の重役さん、きっと日本のバブルの頃の甘い成功体験が忘れられず、その頃と同じ調子で日本人の部下に指図したり怒鳴りつける習慣が抜けず、米国子会社の現場の状況も良く分からないままTV会議で頭ごなしに米人を怒鳴りつけてしまったのでしょう。同じ様に米国駐在中の日本人メンバーも米人に分かりやすくきちんと説明したり、じっくり意見を聞いて話し合う時間も気力もなく日本的な『阿吽の呼吸』で仕事を進めるやり方になってしまったのでしょう。全く慣れとは恐ろしい。

 他の多くの会社ではそんな事にはなっていないと思いたいですが、皆さん、ここはアメリカです。ブラックな部分の日本社会の慣れ、日本人間の慣れをそのまま持ち込んで無理矢理米人に押し付けないようにお願いします。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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