
デトロイトりんご会補習授業校の恒 例行事であるオープンハウスが10月19 日(土)に開催された。児童生徒が平 日に通う現地校の教員や教育委員など 教育関係者を招待して行われており、 授業参観や交流、日本文化紹介を通し て、理解や関心を高め、現地校での日 本人児童の指導に生かす情報を提供す ることを目的としている。
当日は小雨交じりの天候のなか、約 80名の教育関係者が訪問し、まず2校 時目の授業を自由に参観した。現地 校の学級担任やESL(ELL)の先生方 は、担当の子ども達が所属する教室を 探して訪れ、学習する姿や掲示物に温 かいまなざしを向けていた。受け持っ ている複数の児童生徒の教室を足早に 巡る参加者も少なくなかった。中には 「20人程の児童生徒を全て見て回りた い」と、足早に移動するノバイ学校区 のESL担当者もいた。 ファーミントン学校区の多数の学校 で日本人生徒を中心にサポートに入っ ている日本人指導者は毎回オープンハ ウスに訪れ、全員の教室を回っている そうで、児童生徒の様子の違いを知る 目的と同時に、信頼を深めるために大 事だと考えていると話す。別の日本人 ESL担当者は、長年仕事に携わって きたがオープンハウスは初めてだそう で、日本の文化を知っているので参加 する必要はないと思っていたが、補習校や生徒の様子を参加して、得ることが多かったと話してくれた。
低学年の担任教師は「受け持ってい る子は静かな子で、来たばかりではな いのでそういう性格なのだと思ってい たけれど、ここでは発言も活発で、認 識を改めた」との感想。彼女は参観し たクラスの様子について「日本の学校 は規律にもっと厳しいと思っていた が、予想に反して発言もかなり自由で 子供は生き生きしている。自分の指導 はきつすぎるかなと思い始めている」 と語った。一方で他の参加者からは相 反する感想も寄せられたため、日米に 関わらず学級や子供の様子は担任次第 であることが判る。受け持ちの児童生 徒の参観にとどまらず、訪問者は日本 スタイル、あるいは別の指導者の方法 に多大な関心を寄せていることが伝わ ってきた。今回初めて参加した低学年 担当の教師は「日本語の授業を観て、 言葉が分からない中にいる不安や居心 地の悪さが実感できた。」と感想を漏 らし、今までもGoogle翻訳を使うなど 工夫はしてきたが、より精神面での配 慮をしたいと語った。
集会場所となったフォーラムには学用品や制服など学校生活に関連する品々、日本の伝統や行事にまつわる物が多数展示された。参加者たちは興味津々眺めて回り、父母会の担当者に質問を寄せる姿も多く見られた。
参観後にはフォーラムに於いて2013 年度のETJ(Educators to Japan:現地 校教育関係者日本派遣)プログラムで 今夏日本に派遣された教育関係者の報 告プレゼンテーションが行われた。報 告に先立ってJBSD(デトロイト日本商工 会)のE T J 担当者より同プログラムの 経緯や概要について説明がなされた。 同プログラムは駐在員子弟を受け入 れている現地校の先生方に感謝と日本 文化理解を図る目的で1 9 7 5 年にロサ ンゼルスで始まり、以後、参加地域が 増加。デトロイト地区では1 9 9 2 年か らJBSDがスポンサーとなって継続し てきている。例年数人の参加者を送り 出している。今年度は5名の参加者が ホームステイ及び学校や文化施設の見 学する機会を得た。 報告に先立って村井学校長より、こ の日の訪問と現地校での指導に対する 謝意が述べられた後、同校の概要や児 童生徒の活動について簡単に説明が加 えられた。日米の全てのレベルでの交 流を祈念する言葉で結んだ。 プログラム参加者の5人は、ホーム ステイや視察の具体的なエピソードを 交えながら、異文化の中に放り込まれ た新鮮な驚きを述懐し、いかに充実し た日々であったかを語った。街並みや 建築物の美しさや、生活の折り目正し さなどに称賛が寄せられた。学校施設 や活動、子供たちの過ごし方や取り巻 く環境については、教育者らしい視線 での分析比較をして説明した参加者が 多かった。一人の報告者は、視察した 中学校の教室施設がシンプルで、ホワ イトボードやスクリーン、PC機器が 無く、伝統的な‘教師の板書を生徒が ノートに書き写す’活動をしているこ とを日米の違いとして取り上げた。生 徒全員が(チョイスが無く)同じ給食 を摂ること、スクールバスが無く、親 の同伴も無く歩いて通うこと、生徒自 身が清掃をすることなど、差異が列挙 されたが、「子供は同じ。学ぶことに 喜びを感じている姿があった。愛おし い。」とまとめた言葉が印象に残っ た。参加者らは異文化の中で経験した ことを生かしてより良い指導をしてい きたいなど前向きな抱負を語った。 質疑応答では、日本の学校システム の他、当地の教育現場での‘言葉や人 種の違いによるいじめ’に対してどう 対処すべきかとの質問が上がり、活発 な意見が交換された。
オープンハウスとETJプログラム報告会を合わせて3時間ほどであったが、「大変有意義」「一目様子をみるだけでも多くの情報を得た」との感想が寄せられた。当日の受付や案内を務めた保護者の親切さや美しくアレンジされた展示に対する称賛の声も多数上がった。日本の学校や文化の理解が深まり、今後の生徒指導や関係が進展することであろう。
デトロイトりんご会補習授業校の恒 例行事であるオープンハウスが10月19 日(土)に開催された。児童生徒が平 日に通う現地校の教員や教育委員など 教育関係者を招待して行われており、 授業参観や交流、日本文化紹介を通し て、理解や関心を高め、現地校での日 本人児童の指導に生かす情報を提供す ることを目的としている。
当日は小雨交じりの天候のなか、約 80名の教育関係者が訪問し、まず2校 時目の授業を自由に参観した。現地 校の学級担任やESL(ELL)の先生方 は、担当の子ども達が所属する教室を 探して訪れ、学習する姿や掲示物に温 かいまなざしを向けていた。受け持っ ている複数の児童生徒の教室を足早に 巡る参加者も少なくなかった。中には 「20人程の児童生徒を全て見て回りた い」と、足早に移動するノバイ学校区 のESL担当者もいた。 ファーミントン学校区の多数の学校 で日本人生徒を中心にサポートに入っ ている日本人指導者は毎回オープンハ ウスに訪れ、全員の教室を回っている そうで、児童生徒の様子の違いを知る 目的と同時に、信頼を深めるために大 事だと考えていると話す。別の日本人 ESL担当者は、長年仕事に携わって きたがオープンハウスは初めてだそう で、日本の文化を知っているので参加 する必要はないと思っていたが、補習校や生徒の様子を参加して、得ることが多かったと話してくれた。
低学年の担任教師は「受け持ってい る子は静かな子で、来たばかりではな いのでそういう性格なのだと思ってい たけれど、ここでは発言も活発で、認 識を改めた」との感想。彼女は参観し たクラスの様子について「日本の学校 は規律にもっと厳しいと思っていた が、予想に反して発言もかなり自由で 子供は生き生きしている。自分の指導 はきつすぎるかなと思い始めている」 と語った。一方で他の参加者からは相 反する感想も寄せられたため、日米に 関わらず学級や子供の様子は担任次第 であることが判る。受け持ちの児童生 徒の参観にとどまらず、訪問者は日本 スタイル、あるいは別の指導者の方法 に多大な関心を寄せていることが伝わ ってきた。今回初めて参加した低学年 担当の教師は「日本語の授業を観て、 言葉が分からない中にいる不安や居心 地の悪さが実感できた。」と感想を漏 らし、今までもGoogle翻訳を使うなど 工夫はしてきたが、より精神面での配 慮をしたいと語った。
集会場所となったフォーラムには学用品や制服など学校生活に関連する品々、日本の伝統や行事にまつわる物が多数展示された。参加者たちは興味津々眺めて回り、父母会の担当者に質問を寄せる姿も多く見られた。
参観後にはフォーラムに於いて2013 年度のETJ(Educators to Japan:現地 校教育関係者日本派遣)プログラムで 今夏日本に派遣された教育関係者の報 告プレゼンテーションが行われた。報 告に先立ってJBSD(デトロイト日本商工 会)のE T J 担当者より同プログラムの 経緯や概要について説明がなされた。 同プログラムは駐在員子弟を受け入 れている現地校の先生方に感謝と日本 文化理解を図る目的で1 9 7 5 年にロサ ンゼルスで始まり、以後、参加地域が 増加。デトロイト地区では1 9 9 2 年か らJBSDがスポンサーとなって継続し てきている。例年数人の参加者を送り 出している。今年度は5名の参加者が ホームステイ及び学校や文化施設の見 学する機会を得た。 報告に先立って村井学校長より、こ の日の訪問と現地校での指導に対する 謝意が述べられた後、同校の概要や児 童生徒の活動について簡単に説明が加 えられた。日米の全てのレベルでの交 流を祈念する言葉で結んだ。 プログラム参加者の5人は、ホーム ステイや視察の具体的なエピソードを 交えながら、異文化の中に放り込まれ た新鮮な驚きを述懐し、いかに充実し た日々であったかを語った。街並みや 建築物の美しさや、生活の折り目正し さなどに称賛が寄せられた。学校施設 や活動、子供たちの過ごし方や取り巻 く環境については、教育者らしい視線 での分析比較をして説明した参加者が 多かった。一人の報告者は、視察した 中学校の教室施設がシンプルで、ホワ イトボードやスクリーン、PC機器が 無く、伝統的な‘教師の板書を生徒が ノートに書き写す’活動をしているこ とを日米の違いとして取り上げた。生 徒全員が(チョイスが無く)同じ給食 を摂ること、スクールバスが無く、親 の同伴も無く歩いて通うこと、生徒自 身が清掃をすることなど、差異が列挙 されたが、「子供は同じ。学ぶことに 喜びを感じている姿があった。愛おし い。」とまとめた言葉が印象に残っ た。参加者らは異文化の中で経験した ことを生かしてより良い指導をしてい きたいなど前向きな抱負を語った。 質疑応答では、日本の学校システム の他、当地の教育現場での‘言葉や人 種の違いによるいじめ’に対してどう 対処すべきかとの質問が上がり、活発 な意見が交換された。
オープンハウスとETJプログラム報告会を合わせて3時間ほどであったが、「大変有意義」「一目様子をみるだけでも多くの情報を得た」との感想が寄せられた。当日の受付や案内を務めた保護者の親切さや美しくアレンジされた展示に対する称賛の声も多数上がった。日本の学校や文化の理解が深まり、今後の生徒指導や関係が進展することであろう。