ミシガンは秋を楽しむ間もなく10月末のハロウィーンが来る前から急に寒くなり ましたね。ニュースによると、カナダ方面からのジェット気流が米国最南部メキ シコ湾辺りまで流れ込んだ影響で中西部、北東部だけでなく各地で気温が年平均 を下回ったようです。我家では一足も二足も早くコタツを出しました。 首都ワシントンが騒がしい間に、MLBプレイオフではタイガースがアリーグ優勝 決定戦で負けてしまったのは残念ですが、こうなったらワールドシリーズでは (原稿執筆時にあと1勝と王手を掛けた)『雑草魂』の上原投手が頑張っている レッドソックスに優勝して欲しいですね。今年はボストンマラソンの惨事もあった ので、「終わり良ければ全て良し」で昨年アリーグ東地区最下位に沈んだチーム がワールドチャンピオンになる奇跡的カムバックのストーリーが似合いますよね。 日本で同時進行中のプロ野球日本シリーズと合わせて本紙が皆さんのお手元に届 く頃には最終結果が出ていると思いますが、果たして当地でレッドソックス、日 本で東北楽天ゴールデン・イーグルスの大願成就なるかどうか?旧暦10月(新 暦では11月)は神無月で日本全国の氏神様たちが総氏神様のおられる出雲の国 に集合してしまい神在月の出雲以外の地方では氏神様がお留守のため、数千マイ ル離れた海の向こうの米国から願いが届くかどうか分かりませんが、小さな願い 事のひとつでも叶えて頂けますでしょうかね?

さて、今回はのテーマは『完璧・完全への挑戦』です。

 完璧・完全と言えば、楽天の田中投手が今年のレギュラーシーズンで24勝無敗(1セーブ)という偉業を成し遂げましたね。勝ち星では今後2度と出ないかもしれない完璧・完全な数字でした。多少対戦チームに点を取られても味方打線がそれ以上に点を取ってくれたラッキーな試合もありましたが、僅差の試合ではきっちり押さえて勝ち切るエースの貫禄と存在価値を見せ付けました。他にも数々のシーズン記録、昨年からの連勝記録などを残し、投手として最高の名誉である2度目の沢村賞を受賞しました。おめでとう!

 野球だけでなく各種のスポーツ、芸術、美術・工芸品、創作物、ビジネスやサー ビスなどの分野で「技を磨いて完璧を目指す」とか「完全無欠のものを作り上げ る」、「完璧に仕上げる、成し遂げる」などという表現がしばしば使われます が、実際は「言うは易く行うは難し」ですね。

 もちろん、何かを作り上げたり、成し遂げようとする際には少しでも完璧なも の、完全な結果を目指す事は重要な事です。観客や物品・サービスを購入して下 さるお客様に喜んで頂くのはもちろん、先ず自分自身が納得出来る出来栄えにし なくては話になりません。完璧・完全を目指す以上、作業の計画・準備や途中の 工程、最終結果までの一連の流れの中でミスや手抜き、怠慢、不注意、見落とし があってはならない訳です。つまらぬミスで何度も失敗を重ねて上達する技もあ りますし、日の目を見ない数え切れないほどの失敗作に対してわずかな数の傑作 しか生まれない美術・工芸品もあるでしょう。

 完璧・完全を目指して努力を続け、競争相手と凌ぎを削りながら師匠や先輩、ラ イバル達の技量・能力レベルに近付き更にそれを超えようと切磋琢磨する事は賞 賛に値します。但し、そこで気をつけなければならない点が二つあります。

 先ず一つは、目指す完璧・完全のレベルを安易に妥協して低く設定しない事で す。「自分の常識は世間の非常識」とまでは行きませんが、目標設定と同様に、 これくらいで良かろうと大した努力もせずに到達・達成出来るようなものではい けません。今まで簡単に出来なかったレベルに設定し、智恵を絞って努力を重ね た結果到達出来て初めて大きな達成感、満足感が生まれます。簡単に出来てしま ったのでは自己満足の範囲を抜け切れず、とてもお客様に喜んで頂けるレベルに 届きません。それを何度も何年も積み重ねて行く内に安易なレベルの設定をして 来た人達とは実力も成果も雲泥の差が出る訳です。

 もう一つは、仮に完璧・完全が達成・実現したとしても、それは多くの場合極めて瞬間的、一時的なものであるという事です。丁度夜空に輝く月が少しずつ満ちて十五夜を迎えて満月となるや否やすぐに欠け始めて行くのと似ています。満月という完璧・完全な姿はほんの一瞬だけでその後直ちに完璧でも完全でもなくなる訳です。つまり完璧・完全は先ず達成・到達するのはもちろん大変だが、それを維持・継続する事はもっと大変だという事です。

 初めて米国に来た頃、若い米人の学生やビジネスマンが時々「パーフェクト!」と言うのを耳にしました。自画自賛の自己満足か相手を褒める外交辞令もあったのかもしれませんが、「そう簡単にパーフェクトはなかろう」と思ったものでした。そんなに簡単にパーフェクトが出たのではパーフェクトの意味も有り難味もないなと思いました。日米の文化の違い、日本人と米人の習慣・考え方の違いかもしれませんが、完璧・完全などというものはそう滅多やたらとお目に掛かれない代物で極たまに出会ってこそ感激するのだと思います。

 古い話になりますが、1976年のモントリオール五輪でオリンピック体操競技史 上初めて10点満点を出して世界をあっと言わせた当時若干14歳のルーマニア 代表ナディア・コマネチの演技は、それまでの血の滲むような毎日の反復練習と 努力の賜物として実現したもので、決して一朝一夕に出来上がったものではあり ません。その後も10点満点を何度か出して技術レベルを維持・継続していたの ですね。ビートたけしの『コマネチ』と一緒にしては困ります。(彼は別の意味で完璧・完全を目指した、いや今も目指している天才かもしれませんが・・・)

皆さん、たとえ一瞬でも一生に一度でも完璧・完全の実現に挑戦しましょう!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 ミシガンは秋を楽しむ間もなく10月末のハロウィーンが来る前から急に寒くなり ましたね。ニュースによると、カナダ方面からのジェット気流が米国最南部メキ シコ湾辺りまで流れ込んだ影響で中西部、北東部だけでなく各地で気温が年平均 を下回ったようです。我家では一足も二足も早くコタツを出しました。 首都ワシントンが騒がしい間に、MLBプレイオフではタイガースがアリーグ優勝 決定戦で負けてしまったのは残念ですが、こうなったらワールドシリーズでは (原稿執筆時にあと1勝と王手を掛けた)『雑草魂』の上原投手が頑張っている レッドソックスに優勝して欲しいですね。今年はボストンマラソンの惨事もあった ので、「終わり良ければ全て良し」で昨年アリーグ東地区最下位に沈んだチーム がワールドチャンピオンになる奇跡的カムバックのストーリーが似合いますよね。 日本で同時進行中のプロ野球日本シリーズと合わせて本紙が皆さんのお手元に届 く頃には最終結果が出ていると思いますが、果たして当地でレッドソックス、日 本で東北楽天ゴールデン・イーグルスの大願成就なるかどうか?旧暦10月(新 暦では11月)は神無月で日本全国の氏神様たちが総氏神様のおられる出雲の国 に集合してしまい神在月の出雲以外の地方では氏神様がお留守のため、数千マイ ル離れた海の向こうの米国から願いが届くかどうか分かりませんが、小さな願い 事のひとつでも叶えて頂けますでしょうかね?

さて、今回はのテーマは『完璧・完全への挑戦』です。

 完璧・完全と言えば、楽天の田中投手が今年のレギュラーシーズンで24勝無敗(1セーブ)という偉業を成し遂げましたね。勝ち星では今後2度と出ないかもしれない完璧・完全な数字でした。多少対戦チームに点を取られても味方打線がそれ以上に点を取ってくれたラッキーな試合もありましたが、僅差の試合ではきっちり押さえて勝ち切るエースの貫禄と存在価値を見せ付けました。他にも数々のシーズン記録、昨年からの連勝記録などを残し、投手として最高の名誉である2度目の沢村賞を受賞しました。おめでとう!

 野球だけでなく各種のスポーツ、芸術、美術・工芸品、創作物、ビジネスやサー ビスなどの分野で「技を磨いて完璧を目指す」とか「完全無欠のものを作り上げ る」、「完璧に仕上げる、成し遂げる」などという表現がしばしば使われます が、実際は「言うは易く行うは難し」ですね。

 もちろん、何かを作り上げたり、成し遂げようとする際には少しでも完璧なも の、完全な結果を目指す事は重要な事です。観客や物品・サービスを購入して下 さるお客様に喜んで頂くのはもちろん、先ず自分自身が納得出来る出来栄えにし なくては話になりません。完璧・完全を目指す以上、作業の計画・準備や途中の 工程、最終結果までの一連の流れの中でミスや手抜き、怠慢、不注意、見落とし があってはならない訳です。つまらぬミスで何度も失敗を重ねて上達する技もあ りますし、日の目を見ない数え切れないほどの失敗作に対してわずかな数の傑作 しか生まれない美術・工芸品もあるでしょう。

 完璧・完全を目指して努力を続け、競争相手と凌ぎを削りながら師匠や先輩、ラ イバル達の技量・能力レベルに近付き更にそれを超えようと切磋琢磨する事は賞 賛に値します。但し、そこで気をつけなければならない点が二つあります。

 先ず一つは、目指す完璧・完全のレベルを安易に妥協して低く設定しない事で す。「自分の常識は世間の非常識」とまでは行きませんが、目標設定と同様に、 これくらいで良かろうと大した努力もせずに到達・達成出来るようなものではい けません。今まで簡単に出来なかったレベルに設定し、智恵を絞って努力を重ね た結果到達出来て初めて大きな達成感、満足感が生まれます。簡単に出来てしま ったのでは自己満足の範囲を抜け切れず、とてもお客様に喜んで頂けるレベルに 届きません。それを何度も何年も積み重ねて行く内に安易なレベルの設定をして 来た人達とは実力も成果も雲泥の差が出る訳です。

 もう一つは、仮に完璧・完全が達成・実現したとしても、それは多くの場合極めて瞬間的、一時的なものであるという事です。丁度夜空に輝く月が少しずつ満ちて十五夜を迎えて満月となるや否やすぐに欠け始めて行くのと似ています。満月という完璧・完全な姿はほんの一瞬だけでその後直ちに完璧でも完全でもなくなる訳です。つまり完璧・完全は先ず達成・到達するのはもちろん大変だが、それを維持・継続する事はもっと大変だという事です。

 初めて米国に来た頃、若い米人の学生やビジネスマンが時々「パーフェクト!」と言うのを耳にしました。自画自賛の自己満足か相手を褒める外交辞令もあったのかもしれませんが、「そう簡単にパーフェクトはなかろう」と思ったものでした。そんなに簡単にパーフェクトが出たのではパーフェクトの意味も有り難味もないなと思いました。日米の文化の違い、日本人と米人の習慣・考え方の違いかもしれませんが、完璧・完全などというものはそう滅多やたらとお目に掛かれない代物で極たまに出会ってこそ感激するのだと思います。

 古い話になりますが、1976年のモントリオール五輪でオリンピック体操競技史 上初めて10点満点を出して世界をあっと言わせた当時若干14歳のルーマニア 代表ナディア・コマネチの演技は、それまでの血の滲むような毎日の反復練習と 努力の賜物として実現したもので、決して一朝一夕に出来上がったものではあり ません。その後も10点満点を何度か出して技術レベルを維持・継続していたの ですね。ビートたけしの『コマネチ』と一緒にしては困ります。(彼は別の意味で完璧・完全を目指した、いや今も目指している天才かもしれませんが・・・)

皆さん、たとえ一瞬でも一生に一度でも完璧・完全の実現に挑戦しましょう!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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