
ミシガン大学の日本家庭健康プログラム(Ann Arbor, MI)は、妊婦向けのグループ検診を数年前より導入している。妊婦グループ検診は各国で行われており、通常の患者と医師の1対1検診より優れていることが証明されているという。利点として、より良い妊娠出産に関する知識の獲得や自己健康管理能力の向上、そして妊婦自身の高い満足度などが報告されている。妊婦が抱える疑問や質問の多くは共通しており、話し合ったり情報を共有することは医師との診察で学ぶ以上の習得が生まれる。妊婦検診と学習の場を組み合わせているため、妊婦にとっては来院の回数を減らせることやコスト面での実利もある。また、メンバー同士の結束や助け合いも期待できるなどメリットが多い。
ミシガン大学では、妊娠出産ケアも担当する女性医師2人(平野、橋川)が日本語で診察及び教育にあたり、妊婦グループ検診のトレーニングを受けた日本人看護婦が進行役や援助を務めている。日本語で行われるのは世界で初めてとのこと。2010年にスタートし、高い効果を確認して、継続実施している。出産予定日が近い妊婦さんを対象にグループを組み、月に1度、計6回同じメンバーで行われる。時間内に個別の妊婦健診も行われ、個々の質問も可能。グループに役立つと思われる一般的な質問は、なるべくグループとともに話し合うようにしている。1回目のトピックは妊娠中の栄養や健康管理。その後、時期に合わせて、リラックス法、アメリカでの分娩の流れ、新生児の世話や授乳、など設定しつつ、メンバーの希望も取り入れた内容で進めている。
レポーターが取材に伺った4月22日は、午前には予定日が3ヵ月以内(5月から7月)のグループの第6回目のセッション、午後には8月から10月が予定日となるグループの第3回目のセッションが開かれた。敷地であるドミノファームののどかな景色を臨む明るく心地よい空間である。診療所の一画ではあるが、なるべく病院ではないような雰囲気が望ましいとのことで、部屋の隅にある診察台などは目に触れない配慮がなされ、音楽が流されていた。受診者は到着後、体重は自分で測り、互いに手を貸して血圧を測定し、母子手帳に記入する。週数も自分で記入する。自己管理の意識を培う意味があるそうだ。グループ検診は単に‘個別’と‘グループ’という違いではなく、受動的な検診とは一線を引くものであることが窺われた。
午前中に集まったのは出産を1~3ヵ月後に控える8人で、このセッションがグループ検診の最終回にあたった。順次個別検診が進められている間に、母乳のあげ方を人形を使って実習。日本人看護婦で出産経験者でもある大崎さんの指導や、経験者のアドバイスを得ながら練習に勤しんだ。乳房の痛みといったトラブルの対処法も伝授された。「へえ、そんなやり方もあるんだ」「知らなかった」という声が飛びかった。同じ時期の妊娠ということで連帯感があるのだろう、ごく親しい仲間同士のように打ち解けた空気があった。その後、平野(リトル)先生による教育指導に移った。この日のテーマは、家族計画(避妊)と妊婦さんたちからの希望で陣痛で病院に向かうタイミングの復習である。実際の避妊具を手に取りながら、説明をうける。参加者の感想を伺ったところ、他の妊婦さんと出会う機会になったことや、他の人の質問を聴けるのが良かったという声が寄せられた。日本での出産経験がある人も参加しており、(妊娠に)間が空いた上に日本とは違うこともあり、グループ検診は意義があり安心を得られたと話してくれた。
午後のグループの第3回目セッションには11人が出席。内5人が初参加とあり、3人ずつ組んで自己紹介した後に全体での他己紹介で会話をスタートした。続いてビデオ映像を含めて陣痛や出産の様子について知識を得たほか、リラックスの方法としてヨガを体験する時間が設けられた。講師の秀島さんはこれまでもこのプログラムで妊婦向けのヨガを指導してきており、心身のリラックスの大切さを説き、その為に大事な呼吸の仕方を実践した後、妊婦に有用なストレッチや楽な出産に役立つポーズを手ほどきした。
セッション後、昨年のグループ検診で一緒になった仲間と集まってヨガを自宅で続けた人たちが赤ちゃんを連れて秀島さんに挨拶に訪れた。ヨガの効用もさることながら、「孤独にならずに済んだ」と良さを語ってくれた。出産直前、出産直後、そして今もEメールで連絡をとりあっているそうだ。
ミシガン大学家庭医療科では、グループ検診が友人作りの場にもなることを願っている。一般的な教育の効率的な提供に加え、ソーシャルサポートも兼ね備えているのがグループ検診の特徴であり、同院では医師とスタッフ、妊婦の好評を得ているとのことである。言語もシステムも異なる地で、必要な知識と情報に加えて安心感を届けている。
ミシガン大学の日本家庭健康プログラム(Ann Arbor, MI)は、妊婦向けのグループ検診を数年前より導入している。妊婦グループ検診は各国で行われており、通常の患者と医師の1対1検診より優れていることが証明されているという。利点として、より良い妊娠出産に関する知識の獲得や自己健康管理能力の向上、そして妊婦自身の高い満足度などが報告されている。妊婦が抱える疑問や質問の多くは共通しており、話し合ったり情報を共有することは医師との診察で学ぶ以上の習得が生まれる。妊婦検診と学習の場を組み合わせているため、妊婦にとっては来院の回数を減らせることやコスト面での実利もある。また、メンバー同士の結束や助け合いも期待できるなどメリットが多い。
ミシガン大学では、妊娠出産ケアも担当する女性医師2人(平野、橋川)が日本語で診察及び教育にあたり、妊婦グループ検診のトレーニングを受けた日本人看護婦が進行役や援助を務めている。日本語で行われるのは世界で初めてとのこと。2010年にスタートし、高い効果を確認して、継続実施している。出産予定日が近い妊婦さんを対象にグループを組み、月に1度、計6回同じメンバーで行われる。時間内に個別の妊婦健診も行われ、個々の質問も可能。グループに役立つと思われる一般的な質問は、なるべくグループとともに話し合うようにしている。1回目のトピックは妊娠中の栄養や健康管理。その後、時期に合わせて、リラックス法、アメリカでの分娩の流れ、新生児の世話や授乳、など設定しつつ、メンバーの希望も取り入れた内容で進めている。
レポーターが取材に伺った4月22日は、午前には予定日が3ヵ月以内(5月から7月)のグループの第6回目のセッション、午後には8月から10月が予定日となるグループの第3回目のセッションが開かれた。敷地であるドミノファームののどかな景色を臨む明るく心地よい空間である。診療所の一画ではあるが、なるべく病院ではないような雰囲気が望ましいとのことで、部屋の隅にある診察台などは目に触れない配慮がなされ、音楽が流されていた。受診者は到着後、体重は自分で測り、互いに手を貸して血圧を測定し、母子手帳に記入する。週数も自分で記入する。自己管理の意識を培う意味があるそうだ。グループ検診は単に‘個別’と‘グループ’という違いではなく、受動的な検診とは一線を引くものであることが窺われた。
午前中に集まったのは出産を1~3ヵ月後に控える8人で、このセッションがグループ検診の最終回にあたった。順次個別検診が進められている間に、母乳のあげ方を人形を使って実習。日本人看護婦で出産経験者でもある大崎さんの指導や、経験者のアドバイスを得ながら練習に勤しんだ。乳房の痛みといったトラブルの対処法も伝授された。「へえ、そんなやり方もあるんだ」「知らなかった」という声が飛びかった。同じ時期の妊娠ということで連帯感があるのだろう、ごく親しい仲間同士のように打ち解けた空気があった。その後、平野(リトル)先生による教育指導に移った。この日のテーマは、家族計画(避妊)と妊婦さんたちからの希望で陣痛で病院に向かうタイミングの復習である。実際の避妊具を手に取りながら、説明をうける。参加者の感想を伺ったところ、他の妊婦さんと出会う機会になったことや、他の人の質問を聴けるのが良かったという声が寄せられた。日本での出産経験がある人も参加しており、(妊娠に)間が空いた上に日本とは違うこともあり、グループ検診は意義があり安心を得られたと話してくれた。
午後のグループの第3回目セッションには11人が出席。内5人が初参加とあり、3人ずつ組んで自己紹介した後に全体での他己紹介で会話をスタートした。続いてビデオ映像を含めて陣痛や出産の様子について知識を得たほか、リラックスの方法としてヨガを体験する時間が設けられた。講師の秀島さんはこれまでもこのプログラムで妊婦向けのヨガを指導してきており、心身のリラックスの大切さを説き、その為に大事な呼吸の仕方を実践した後、妊婦に有用なストレッチや楽な出産に役立つポーズを手ほどきした。
セッション後、昨年のグループ検診で一緒になった仲間と集まってヨガを自宅で続けた人たちが赤ちゃんを連れて秀島さんに挨拶に訪れた。ヨガの効用もさることながら、「孤独にならずに済んだ」と良さを語ってくれた。出産直前、出産直後、そして今もEメールで連絡をとりあっているそうだ。
ミシガン大学家庭医療科では、グループ検診が友人作りの場にもなることを願っている。一般的な教育の効率的な提供に加え、ソーシャルサポートも兼ね備えているのがグループ検診の特徴であり、同院では医師とスタッフ、妊婦の好評を得ているとのことである。言語もシステムも異なる地で、必要な知識と情報に加えて安心感を届けている。