<!--:en-->A Cherry Story From The Cherry Kingdom<!--:--><!--:ja-->チェリー王国からチェリーの話<!--:--> 2

 エデンの園(旧約聖書の『創世記』に登場する理想郷)を例外として、トラバースシティーほど果実に密接な土地を挙げるのは難しい。その果実こそがチェリーである。
 チェリーフェスティバル(National Cherry Festival)の開催地というだけでなく、トラバースシティーでは、ほぼ全てのものに“チェリー”を見つけることができる。当市の空港‘Cherry Capital Airport’を筆頭に、電力会社の名は‘Cherryland Electric Cooperative’であるし、チェリーのソースやメイン料理、デザートメニューが1つもないレストランは稀だろう。人が集まるところに、スナック用のドライチェリーが出ていないことはまずない。
 Traverse Bay周辺の住人達は一世紀以上も、この艶やかな小さな果実をあたかも庭に据えたマスコットかのように親しんできた。それは甘酢っぽい味の魅力でもあろうし、(多くの住人の気質と同じように)見た目以上に弾力があるせいかも知れない。どのような理由であれ、最初のチェリーの木が1852年に宣教師 Rev. Peter Doughertyによって植えられて以来、チェリーはトラバースシティーの歴史の一部であり続けた。
 宣教師が試みたチェリーの木がこの北の地に根付くとは誰しも予想しなかったが、見事に開花。その後ここに移り住んだ開拓者らが自家チェリーを次々に植えるようになるのに長い時間は要さなかった。水深があり程よい冷たさを保つ豊かな水を抱える湖や入り江に囲まれ、なだらかな丘陵地であるというこの地域の独特な地理条件が、冬と春の気温を緩やかに保つために重要な役割を果たしていると気づくことになる。
 近年、トラバースシティーの北から北西に伸びる2つの半島:Old Mission と Leelanau Peninsulas の丘陵地にチェリー果樹園が広がり、Tart Cherryという品種にいたっては世界中の生産量の75%をトラバースシティー周辺で占めている。
 1923年に地元の教会が中心にとなって、豊かな収穫を祈るために“Blessing of the Blossoms:開花祝福”の催しを始めた。それは地元の伝統として今でもOld Missionで毎年5月のBlossom Dayに続いている。
 この素朴な習慣が始まりとなって、格段に規模の大きなイベント“National Cherry Festival”が催されるようになり、今年で82周年を迎える。毎年7月、1週間にわたって開かれるフェスティバルには何十万人もが集い、パレード、音楽、打ち上げ花火などの盛りだくさんなイベントを楽しむ。チェリーパイ食いや種飛ばしといった独特な競技も行われる。
 エンターテイメントの要素が満載とはいえ、祭りの主役はあくまでもチェリー。主催団体は、今までにないチェリーの利用法の開発を怠ることはない。その成果によって、この辺では、ビール、ワイン、ドレッシングはもとより、肉料理にまでチェリー製品を見つけることができる。その背景には、アメリカ人の食生活や嗜好が変わり、以前ほどパイを食べなくなった現状がある。チェリー生産者たちにとって、生き延びるためには新しいマーケットを生み出すことは必須なのだ。「チェリー果樹園に着手すると決める時には、25年から30年は携わる覚悟。安直性急に転換することはできない」と、1300エーカーの果樹園‘Cherry Bay Orchard’の経営者は語る。
 早期にマーケットを開拓した一人である肉屋の主人(Ray Plava)は、1980年代に初めて挽き肉にチェリーを加え、成功。彼の名をもじって‘Plevalean burger’と名付けられたバーガー肉は今日18州の学校のカフェテリアに供給されている。Plava氏は現在は別のマーケットを展開中で、チェリーとナチュラルオイルを合わせたスキンケア商品を市場に出すことに取り組んでいる。
 Plava氏に限らず、チェリーの栄養面と抗炎症作用という特質が着目され、チェリー業界では健康や美容向けの商品開発と販売に高い関心と力が注がれている。

 既に商品化された150以上のチェリー関連製品を置いている店が、Glen Arborに本店をもつ“Cherry Republic”。炭酸飲料、アイスクリーム、サルサなど、様々な品が並んでいる。トラバースシティーのダウンタウンに“大使”の任を務める支店がある。ちなみにダウンタウンには他にも、ジャムやソースを扱う“American Spoon Foods”の専門店や、ドライチェリー入りチョコレートを置く “Cherry Stop”など、チェリーにちなんだ商品が並ぶ店舗がいくつも存在する。
 生産地ならではの体験が‘U-pick’、サクランボ狩りである。体験に好適な2カ所は、Farmer White’s(ハイウェイUS-31沿いElk Rapidsの南側)とGallagher’s(ハイウェイM-72沿い、ダウンタウンの西)。
*ハイウェイ沿いにいくつものサインを見かけ、当日飛び込みが可能な所もあるが、事前に収穫最盛期の情報も含めて問い合わせることをお勧めしたい。(Japan News Club追記)
 果樹園に立ち、たわわにチェリーの実をつけた枝の合間から遠く広がる青い水平線を目にすれば、チェリーは自分が根付きたかったスペシャルな場所を選んだのだと確信することであろう。

今年のチェリーフェスティバルは6月29日から7月6日

今年も、パレードの他、世界屈指の飛行チームが出場するエア・ショー、クラシックカー・ショー、15キロ/5キロのマラソン(15/5 THOUSAND METER RUN)、クラフトフェア、映画、花火、ゲームなど、大小さまざまな企画が予定されている。イベント内容や日程、地図などの詳細は、公式ホームページを参照のこと。
http://www.cherryfestival.org

英文元原稿:トラバースシティー観光局

 エデンの園(旧約聖書の『創世記』に登場する理想郷)を例外として、トラバースシティーほど果実に密接な土地を挙げるのは難しい。その果実こそがチェリーである。
 チェリーフェスティバル(National Cherry Festival)の開催地というだけでなく、トラバースシティーでは、ほぼ全てのものに“チェリー”を見つけることができる。当市の空港‘Cherry Capital Airport’を筆頭に、電力会社の名は‘Cherryland Electric Cooperative’であるし、チェリーのソースやメイン料理、デザートメニューが1つもないレストランは稀だろう。人が集まるところに、スナック用のドライチェリーが出ていないことはまずない。
 Traverse Bay周辺の住人達は一世紀以上も、この艶やかな小さな果実をあたかも庭に据えたマスコットかのように親しんできた。それは甘酢っぽい味の魅力でもあろうし、(多くの住人の気質と同じように)見た目以上に弾力があるせいかも知れない。どのような理由であれ、最初のチェリーの木が1852年に宣教師 Rev. Peter Doughertyによって植えられて以来、チェリーはトラバースシティーの歴史の一部であり続けた。
  宣教師が試みたチェリーの木がこの北の地に根付くとは誰しも予想しなかったが、見事に開花。その後ここに移り住んだ開拓者らが自家チェリーを次々に植えるようになるのに長い時間は要さなかった。水深があり程よい冷たさを保つ豊かな水を抱える湖や入り江に囲まれ、なだらかな丘陵地であるというこの地域の独特な地理条件が、冬と春の気温を緩やかに保つために重要な役割を果たしていると気づくことになる。
 近年、トラバースシティーの北から北西に伸びる2つの半島:Old Mission と Leelanau Peninsulas の丘陵地にチェリー果樹園が広がり、Tart Cherryという品種にいたっては世界中の生産量の75%をトラバースシティー周辺で占めている。
  1923年に地元の教会が中心にとなって、豊かな収穫を祈るために“Blessing of the Blossoms:開花祝福”の催しを始めた。それは地元の伝統として今でもOld Missionで毎年5月のBlossom Dayに続いている。
 この素朴な習慣が始まりとなって、格段に規模の大きなイベント“National Cherry Festival”が催されるようになり、今年で82周年を迎える。毎年7月、1週間にわたって開かれるフェスティバルには何十万人もが集い、パレード、音楽、打ち上げ花火などの盛りだくさんなイベントを楽しむ。チェリーパイ食いや種飛ばしといった独特な競技も行われる。
 エンターテイメントの要素が満載とはいえ、祭りの主役はあくまでもチェリー。主催団体は、今までにないチェリーの利用法の開発を怠ることはない。その成果によって、この辺では、ビール、ワイン、ドレッシングはもとより、肉料理にまでチェリー製品を見つけることができる。その背景には、アメリカ人の食生活や嗜好が変わり、以前ほどパイを食べなくなった現状がある。チェリー生産者たちにとって、生き延びるためには新しいマーケットを生み出すことは必須なのだ。「チェリー果樹園に着手すると決める時には、25年から30年は携わる覚悟。安直性急に転換することはできない」と、1300エーカーの果樹園‘Cherry Bay Orchard’の経営者は語る。
 早期にマーケットを開拓した一人である肉屋の主人(Ray Plava)は、1980年代に初めて挽き肉にチェリーを加え、成功。彼の名をもじって‘Plevalean burger’と名付けられたバーガー肉は今日18州の学校のカフェテリアに供給されている。Plava氏は現在は別のマーケットを展開中で、チェリーとナチュラルオイルを合わせたスキンケア商品を市場に出すことに取り組んでいる。
 Plava氏に限らず、チェリーの栄養面と抗炎症作用という特質が着目され、チェリー業界では健康や美容向けの商品開発と販売に高い関心と力が注がれている。

 既に商品化された150以上のチェリー関連製品を置いている店が、Glen Arborに本店をもつ“Cherry Republic”。炭酸飲料、アイスクリーム、サルサなど、様々な品が並んでいる。トラバースシティーのダウンタウンに“大使”の任を務める支店がある。ちなみにダウンタウンには他にも、ジャムやソースを扱う“American Spoon Foods”の専門店や、ドライチェリー入りチョコレートを置く “Cherry Stop”など、チェリーにちなんだ商品が並ぶ店舗がいくつも存在する。
 生産地ならではの体験が‘U-pick’、サクランボ狩りである。体験に好適な2カ所は、Farmer White’s(ハイウェイUS-31沿いElk Rapidsの南側)とGallagher’s(ハイウェイM-72沿い、ダウンタウンの西)。
*ハイウェイ沿いにいくつものサインを見かけ、当日飛び込みが可能な所もあるが、事前に収穫最盛期の情報も含めて問い合わせることをお勧めしたい。(Japan News Club追記)
 果樹園に立ち、たわわにチェリーの実をつけた枝の合間から遠く広がる青い水平線を目にすれば、チェリーは自分が根付きたかったスペシャルな場所を選んだのだと確信することであろう。

今年のチェリーフェスティバルは6月29日から7月6日

今年も、パレードの他、世界屈指の飛行チームが出場するエア・ショー、クラシックカー・ショー、15キロ/5キロのマラソン(15/5 THOUSAND METER RUN)、クラフトフェア、映画、花火、ゲームなど、大小さまざまな企画が予定されている。イベント内容や日程、地図などの詳細は、公式ホームページを参照のこと。
http://www.cherryfestival.org

英文元原稿:トラバースシティー観光局

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