<!--:en-->Japan Wadaiko Visits Michigan<!--:--><!--:ja-->日本の和太鼓奏者がミシガンで指導と演奏<!--:--> 9

日本語を学んでいる児童生徒とワークショップやミニリサイタルで文化交流も

 外は寒気で凍てつく2月のある日、デトロイト市の公立学校の1つ、FLICSの講堂(ジム)にダイナミックな和太鼓の音が鳴り響いた。

 石川県白山市の浅野太鼓文化研究所(財団法人)に所属し、国内外で演奏活動を展開している「焱太鼓」のメンバー、山田瑞恵さんと東川裕菜さんがミシガンに約2週間滞在し、指導や太鼓文化紹介を行った。これはノバイ市を拠点とする五大湖太鼓センターの依頼に応じて実現したもので、同センターの主宰者ブライアン・ソウル氏御夫妻がセンター設立前に浅野太鼓文化研究所で修業を積んだ縁に由来する。二人の若手プロ奏者は、五大湖太鼓センターの通常のクラスや特別ワークショップで指導にあたったほか、前述のように、地域の学校訪問も行い日本文化紹介や交流など、精力的に活動した。

 2月15日のFLICS校では、まず日本語を学んでいる各教室をソウル氏同伴のもと訪問し、日本語での紹介の後、生徒の挨拶や質問に応答した。日本からのプロドラマーの来訪に、競うように進んで手を挙げて会話しようとする子供たちの姿があった。

 FLICSの正式名称は Foreign Language Immersion & Cultural Studies。イマージョンといって、外国語を言語教科として学ぶだけでなく、大半の他教科も外国語で学ぶスタイルをとっている。フランス語・スペイン語・日本語・中国語の選択があり、キンダーガーテンから8年生までの児童生徒が日本語を学んでいる。

 午後には講堂に集まった全生徒を対象に、和太鼓についての簡単なレクチャーを提供した後、演奏を披露した。和太鼓には牛の皮と木が使われていることを説明し、2つの命が生まれ変わった太鼓なので、感謝の心を込めて叩いていると語った。クイズ形式で数種の太鼓の違いを感覚的に理解させたり、日本の伝統的な三三七拍子を教えてその手拍子に合わせて太鼓をたたくなど、生徒の関心を上手に喚起しながら紹介を進めた。演奏に移ると、床に座っていた低学年の子ども達が曲に合わせて手や床を叩くなど大変な盛り上がり。演奏の終盤には、五大湖太鼓センターで習っている同校生徒のメアリーさんとそのお母さんも加わって共演し、颯爽としたパワフルな演奏に拍手と歓声が溢れかえった。

 山田さん達は日本国内でも頻繁に学校訪問を行っているということだが、「ノリが全然違う。日本の子ども達は演奏中は声を出さずにじっとしているもの。ここでは反応がストレートに返ってきて新鮮で楽しかったです。」と印象を語ってくれた。そんな生徒たちに感想を尋ねると、「カッコいい!」「音も動きも好き!」と興奮を交えた生き生きとした反響があった。

 2月20日には、一行はリボニア市にある公立チャータースクールHinoki Internationalを訪問し、ここでは演奏のほかワークショップも行った。同校は日本語と英語の双方向イマージョン(言語に浸かることで習得を図る)教育を推進している全米でもユニークな学校で、言語のみならず、日米両方文化を学ぶことに力を入れている。この日は、幼稚園児から小学校低学年の児童たちまでが実際に太鼓を打つ機会を得て、嬉しそうに真剣に取り組んだ。

 2月23日(土)には五大湖太鼓センター主催によるコンサートがファーミントンヒルスの教会(Faith Covenant Church)の礼拝堂を会場にして開催された。プログラムの前半は『五大湖太鼓センター』の生徒たちの発表、後半に主宰者ソウル氏夫妻が属している和太鼓のパフォーマンスグループ“雷音太鼓”、そして山田瑞恵さんと東川裕菜さんの友情出演による演奏がが繰り広げられた。真有美ソウル夫人による三味線の演奏と、当地の邦楽グループ“雅”に所属する浅野裕子さんの琴を加えた協演も盛り込まれ、バラエティー豊かな演目が提供された。太鼓センターの子ども達は、三宅島に伝承されている神輿太鼓を元にした「三宅太鼓」の斜め打ちに挑戦。順にソロ打ちの場面もあり、颯爽とした姿と真剣な表情が印象的だった。後日談ではあるが、そのカッコよさに惹かれて数人がクラスに加わったという。

 二百人を超した観客の大半は地元のアメリカ人と見られる人々。日本の芸能が浸透し、ファンが増えていることが伺えた。焱太鼓が所属する浅野太鼓、そしてその流れを組む雷音太鼓と五大湖太鼓センターでは、日本の伝統リズムやメロディーを大切にしつつも、神楽(囃子)や歌舞伎などの伝統芸能とは異なる‘創作和太鼓’を主にしている。古くからの楽曲をアレンジしたものや、近現代に新たに作曲された20曲近い曲が届けられ、会場は和楽器の音とパワーに包まれた。

 山田瑞恵さんは多数の和太鼓曲の作曲者でもあり、今回の演奏会でセンターの生徒や“雷音太鼓”が叩いた曲にも山田さん作曲のものが含まれていた。山田さんと東川さんの演奏では、6曲中4曲が山田さんの作曲。曲名は『白竹』『雷群』『出航』など自然にまつわるものが多く、曲想もそれを表して、凛とした雰囲気のもの、あるいはダイナミックな激しさで会場の空気を震わせるものと、自然界の静と動を豊かに醸し出していた。時には篠笛を加えて、和太鼓の多彩な音色と表現力を余すところなく披露した。女性特有の柔軟な麗しさに女性離れしたスピードと迫力を兼ね備えたパフォーマンスが会場を圧倒した。

 更に、プログラムの最後には、ソウル氏のために山田さんが作曲した「五大湖」と名付けられた新曲がこの日初公開された。スケールの雄大な印象のあるこの曲は今後、ミシガンを出発点として各地で演奏されてゆくことであろう。

 アンコールには出演者揃って『虫送り』という景気の良い曲が届けられ、盛り上がりは最高潮に達した。締めのポーズで曲が終わるや否や観客席から盛大な拍手が上がり、陽気な雰囲気の中でお開きとなった。初めて和太鼓の演奏を聴いたアメリカ人男性は「イメージしていた太鼓の音楽会とは全く違っていた。もっと単調なものだと思っていたが、リズムも叩き方もバラエティーがあって惹きつけられた。体の中まで響きが伝わるパワーが凄い。」と興奮冷めやらぬ様子で感動を語った。

 コンサートの2日後に、山田さんと東川さんが講師を務めて特別体験レッスンが催され、20人を超す人が初めて太鼓を叩く機会を得た。その大半はコンサートでのパフォーマンスに魅了された人びと。20代の快活なプロ演奏家たちのレッスンは、太鼓センターの生徒たちにも強い刺激を与えることになったが、それにも増して二人の技術と人柄に、更に称賛が集まった。

 ソウル氏は「大勢の人がコンサートに来てくれ、一緒に和太鼓、日本文化の夕べを過ごすことができて大変嬉しく思います。ミシガンで習う人も増えたら最高です。」と流暢な日本語で喜びと抱負を語った。

 五大湖太鼓センターは、2009年秋にミシガン州で和太鼓パフォーマンスグループ「雷音(らいおん)太鼓」が結成されたと同時に、雷音太鼓メンバーであるソウル氏及びまゆみ夫人によって立ち上げられた。「ミシガンに太鼓の素晴らしさを広げ、太鼓を愛する人の拠点になりたい」という夢を実現するための太鼓道場である。2010年にはクラスをスタートし、ミシガン初の和太鼓の演奏活動と普及のセンターとして活動を行ってきた。雷音太鼓のメンバーや太鼓センターの生徒たちは、この3年余の間に、数多くの日系の文化紹介・交流行事などで演奏を披露した他、アジア系の踊りと音楽の祭典‘Splendor of the East’や、ロイヤルオークの人気イベント‘Ford Arts, Beats & Eats Festival’など様々な催しに出演してきた。

 コンサート後、焱太鼓のメンバーに感想を伺うと、山田さんは「2年前の五大湖太鼓センターの1周年祭にもゲストとして参加しましたが、2年でレベルアップしていて素晴らしいと思いました。皆さんが相変わらず元気でパワーを貰いました。今回はワークショップでの交流もあり、一緒に楽しみました。」と語り、当地での演奏活動については、「初めて見た人が『素晴らしい』と言ってくれ、また、日本を離れている日本の人が喜んでくれるのがとても嬉しい。」と笑顔で話してくれた。東川さんは「ここでのストレートな反応が嬉しく有難かった。頂いたパワーを持ち帰り、今後の演奏に生かしたい。」と前向き。お二方とも再訪への強い意欲を表し、将来の来訪の機会を楽しみにしている。

 ソウル氏はセンターを開設して以来、3年連続世界一流のパフォーマーを招いての公演を実現し、盛況を収めてきた。今後の展開に更に期待したい。

五大湖太鼓センター

ウェブサイトhttp://www.michigantaiko.net
Eメール:raion.taiko@gmail.com

日本語を学んでいる児童生徒とワークショップやミニリサイタルで文化交流も

 外は寒気で凍てつく2月のある日、デトロイト市の公立学校の1つ、FLICSの講堂(ジム)にダイナミックな和太鼓の音が鳴り響いた。

 石川県白山市の浅野太鼓文化研究所(財団法人)に所属し、国内外で演奏活動を展開している「焱太鼓」のメンバー、山田瑞恵さんと東川裕菜さんがミシガンに約2週間滞在し、指導や太鼓文化紹介を行った。これはノバイ市を拠点とする五大湖太鼓センターの依頼に応じて実現したもので、同センターの主宰者ブライアン・ソウル氏御夫妻がセンター設立前に浅野太鼓文化研究所で修業を積んだ縁に由来する。二人の若手プロ奏者は、五大湖太鼓センターの通常のクラスや特別ワークショップで指導にあたったほか、前述のように、地域の学校訪問も行い日本文化紹介や交流など、精力的に活動した。

 2月15日のFLICS校では、まず日本語を学んでいる各教室をソウル氏同伴のもと訪問し、日本語での紹介の後、生徒の挨拶や質問に応答した。日本からのプロドラマーの来訪に、競うように進んで手を挙げて会話しようとする子供たちの姿があった。

  FLICSの正式名称は Foreign Language Immersion & Cultural Studies。イマージョンといって、外国語を言語教科として学ぶだけでなく、大半の他教科も外国語で学ぶスタイルをとっている。フランス語・スペイン語・日本語・中国語の選択があり、キンダーガーテンから8年生までの児童生徒が日本語を学んでいる。

 午後には講堂に集まった全生徒を対象に、和太鼓についての簡単なレクチャーを提供した後、演奏を披露した。和太鼓には牛の皮と木が使われていることを説明し、2つの命が生まれ変わった太鼓なので、感謝の心を込めて叩いていると語った。クイズ形式で数種の太鼓の違いを感覚的に理解させたり、日本の伝統的な三三七拍子を教えてその手拍子に合わせて太鼓をたたくなど、生徒の関心を上手に喚起しながら紹介を進めた。演奏に移ると、床に座っていた低学年の子ども達が曲に合わせて手や床を叩くなど大変な盛り上がり。演奏の終盤には、五大湖太鼓センターで習っている同校生徒のメアリーさんとそのお母さんも加わって共演し、颯爽としたパワフルな演奏に拍手と歓声が溢れかえった。

   山田さん達は日本国内でも頻繁に学校訪問を行っているということだが、「ノリが全然違う。日本の子ども達は演奏中は声を出さずにじっとしているもの。ここでは反応がストレートに返ってきて新鮮で楽しかったです。」と印象を語ってくれた。そんな生徒たちに感想を尋ねると、「カッコいい!」「音も動きも好き!」と興奮を交えた生き生きとした反響があった。

 2月20日には、一行はリボニア市にある公立チャータースクールHinoki Internationalを訪問し、ここでは演奏のほかワークショップも行った。同校は日本語と英語の双方向イマージョン(言語に浸かることで習得を図る)教育を推進している全米でもユニークな学校で、言語のみならず、日米両方文化を学ぶことに力を入れている。この日は、幼稚園児から小学校低学年の児童たちまでが実際に太鼓を打つ機会を得て、嬉しそうに真剣に取り組んだ。

 2月23日(土)には五大湖太鼓センター主催によるコンサートがファーミントンヒルスの教会(Faith Covenant Church)の礼拝堂を会場にして開催された。プログラムの前半は『五大湖太鼓センター』の生徒たちの発表、後半に主宰者ソウル氏夫妻が属している和太鼓のパフォーマンスグループ“雷音太鼓”、そして山田瑞恵さんと東川裕菜さんの友情出演による演奏がが繰り広げられた。真有美ソウル夫人による三味線の演奏と、当地の邦楽グループ“雅”に所属する浅野裕子さんの琴を加えた協演も盛り込まれ、バラエティー豊かな演目が提供された。太鼓センターの子ども達は、三宅島に伝承されている神輿太鼓を元にした「三宅太鼓」の斜め打ちに挑戦。順にソロ打ちの場面もあり、颯爽とした姿と真剣な表情が印象的だった。後日談ではあるが、そのカッコよさに惹かれて数人がクラスに加わったという。

 二百人を超した観客の大半は地元のアメリカ人と見られる人々。日本の芸能が浸透し、ファンが増えていることが伺えた。焱太鼓が所属する浅野太鼓、そしてその流れを組む雷音太鼓と五大湖太鼓センターでは、日本の伝統リズムやメロディーを大切にしつつも、神楽(囃子)や歌舞伎などの伝統芸能とは異なる‘創作和太鼓’を主にしている。古くからの楽曲をアレンジしたものや、近現代に新たに作曲された20曲近い曲が届けられ、会場は和楽器の音とパワーに包まれた。

 山田瑞恵さんは多数の和太鼓曲の作曲者でもあり、今回の演奏会でセンターの生徒や“雷音太鼓”が叩いた曲にも山田さん作曲のものが含まれていた。山田さんと東川さんの演奏では、6曲中4曲が山田さんの作曲。曲名は『白竹』『雷群』『出航』など自然にまつわるものが多く、曲想もそれを表して、凛とした雰囲気のもの、あるいはダイナミックな激しさで会場の空気を震わせるものと、自然界の静と動を豊かに醸し出していた。時には篠笛を加えて、和太鼓の多彩な音色と表現力を余すところなく披露した。女性特有の柔軟な麗しさに女性離れしたスピードと迫力を兼ね備えたパフォーマンスが会場を圧倒した。

 更に、プログラムの最後には、ソウル氏のために山田さんが作曲した「五大湖」と名付けられた新曲がこの日初公開された。スケールの雄大な印象のあるこの曲は今後、ミシガンを出発点として各地で演奏されてゆくことであろう。

 アンコールには出演者揃って『虫送り』という景気の良い曲が届けられ、盛り上がりは最高潮に達した。締めのポーズで曲が終わるや否や観客席から盛大な拍手が上がり、陽気な雰囲気の中でお開きとなった。初めて和太鼓の演奏を聴いたアメリカ人男性は「イメージしていた太鼓の音楽会とは全く違っていた。もっと単調なものだと思っていたが、リズムも叩き方もバラエティーがあって惹きつけられた。体の中まで響きが伝わるパワーが凄い。」と興奮冷めやらぬ様子で感動を語った。

 コンサートの2日後に、山田さんと東川さんが講師を務めて特別体験レッスンが催され、20人を超す人が初めて太鼓を叩く機会を得た。その大半はコンサートでのパフォーマンスに魅了された人びと。20代の快活なプロ演奏家たちのレッスンは、太鼓センターの生徒たちにも強い刺激を与えることになったが、それにも増して二人の技術と人柄に、更に称賛が集まった。

 ソウル氏は「大勢の人がコンサートに来てくれ、一緒に和太鼓、日本文化の夕べを過ごすことができて大変嬉しく思います。ミシガンで習う人も増えたら最高です。」と流暢な日本語で喜びと抱負を語った。

 五大湖太鼓センターは、2009年秋にミシガン州で和太鼓パフォーマンスグループ「雷音(らいおん)太鼓」が結成されたと同時に、雷音太鼓メンバーであるソウル氏及びまゆみ夫人によって立ち上げられた。「ミシガンに太鼓の素晴らしさを広げ、太鼓を愛する人の拠点になりたい」という夢を実現するための太鼓道場である。2010年にはクラスをスタートし、ミシガン初の和太鼓の演奏活動と普及のセンターとして活動を行ってきた。雷音太鼓のメンバーや太鼓センターの生徒たちは、この3年余の間に、数多くの日系の文化紹介・交流行事などで演奏を披露した他、アジア系の踊りと音楽の祭典‘Splendor of the East’や、ロイヤルオークの人気イベント‘Ford Arts, Beats & Eats Festival’など様々な催しに出演してきた。

 コンサート後、焱太鼓のメンバーに感想を伺うと、山田さんは「2年前の五大湖太鼓センターの1周年祭にもゲストとして参加しましたが、2年でレベルアップしていて素晴らしいと思いました。皆さんが相変わらず元気でパワーを貰いました。今回はワークショップでの交流もあり、一緒に楽しみました。」と語り、当地での演奏活動については、「初めて見た人が『素晴らしい』と言ってくれ、また、日本を離れている日本の人が喜んでくれるのがとても嬉しい。」と笑顔で話してくれた。東川さんは「ここでのストレートな反応が嬉しく有難かった。頂いたパワーを持ち帰り、今後の演奏に生かしたい。」と前向き。お二方とも再訪への強い意欲を表し、将来の来訪の機会を楽しみにしている。

 ソウル氏はセンターを開設して以来、3年連続世界一流のパフォーマーを招いての公演を実現し、盛況を収めてきた。今後の展開に更に期待したい。

五大湖太鼓センター

ウェブサイトhttp://www.michigantaiko.net
Eメール:raion.taiko@gmail.com

 

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