<!--:en-->補習授業校にて 宇宙飛行士試験に挑んだ ビジネスマンによる講演会<!--:--><!--:ja-->補習授業校にて 宇宙飛行士試験に挑んだ ビジネスマンによる講演会<!--:-->
酒井忠司氏

 デトロイトりんご会補習授業校では、中学・高校生を対象に「キャリア教育講演会」と題して、より広い視野で将来に向けて職業観を養う機会を提供している。2012年度3回目となった2月の講演会には、夢であった宇宙飛行士を目指して1998年にNASDA(宇宙開発事業団、現在のJAXA)の選抜試験に挑み、第二次選抜試験まで進んだ経験を持つ酒井忠司氏が講師を務めた。
 NASDA及びJAXAは、1985年の第1回から5回にわたり宇宙飛行士候補者の採用募集を行ってきたが、酒井氏が挑戦した4回目の1998年には864名の応募者があり、書類選考を通過して第一次試験を受験したのは約200名、そのうち筆記試験(学力、一般教養)や心理学テスト、身体・体力測定など、多岐にわたる審査を突破して第二次選抜試験へと駒を進めたのはわずか51名という狭き門。酒井氏は、筑波のNASDA本部で一週間にわたって行われた第二次選抜がどのようなものであったかを説明した。中でも、学力、運動能力、協調性、リーダーシップなど、飛行士としての適性を厳しく試される検査の内容や様子は、当事者でなければ語れない詳細さと臨場感に溢れたもので、会場の生徒達は興味津々の様子で聞き入っていた。この年の最終合格者は、現在宇宙飛行士として活躍している山崎氏、星出氏、古川氏の3名。彼等は、子供の頃に受けた感動や刺激がきっかけで宇宙飛行士を目指したという。夢を持ち続け、実現するために何をなすべきかを選択し、邁進してきたからこその成果であることを強調した。自身の宇宙飛行士の夢は叶わなかったが、選抜試験中の稀有な体験や、目標が同じ人々との共同生活は楽しく貴重な時であったこと、また第二次試験への合格者は、その後も様々なイベントや親睦会への招待が届くので、歴代宇宙飛行士と交流する機会もあることなど、夢に挑戦した成果の大きさを伝えた。また、同校で臨時講師を務める家田義也氏とは、選抜試験で出会って以来の仲で、無二の親友となった。
 また酒井氏は、日本の宇宙開発事業団はNASAの10の1の予算で素晴らしい技術開発をしていることに触れ、「日本の素晴らしい技術力を絶やさないように理科を学んで欲しい」との言葉に加えて、宇宙開発の弊害や課題、そして理科を学ぶ意義にも言及した。そしてさらには、アメリカ国内にあるNASA関連の公開施設の紹介も織り込んだ。酒井氏は、同校の理科の授業を指導した経験があるため、この講演でも生徒たちの意欲や関心を高める工夫に努めていた。
 講演のまとめとして生徒達に、人類で初めて宇宙に行ったガガーリンが選ばれた理由というのが「話していて楽しい好青年だったから」という逸話を引用し、「人間関係を大切に。親や友に感謝するように」と諭したほか、「次の世代を担う人が頑張るかどうかで世の中が変わる」「皆さんのように英語も日本語も話せ、いろんな国の人と生活し異文化を理解できる人は貴重」「日本人として誇りを持ち、日本の代表という意識を持って行動して欲しい」など当地で学ぶ若者への期待と、激励を込めた助言を伝え、締めくくった。