2月『如月』になりました。自分の誕生月なのでえこ贔屓(ひいき)する訳ではありませんが、1年の中でも2月は何か特別な感じがします。『きさらぎ』という響きが先ず好きですし、ひと月が過不足なくぴったり4週間、28日しかない一番短い月でありながら、4年に一度の閏年には1日追加されて29日になるという変わり者、異端児です。日本では一番寒い月でもあり、学生時代には学期末試験、卒業試験、入学試験と続く試験シーズンで大雪、凍結で交通機関のダイヤが乱れて試験時刻が遅れたり、日時が延期になることも良くありました。当時は通勤・通学時の着膨れラッシュも一旦乗ったら身動きできない思いをして大変でしたが、今では懐かしい想い出の一つです。

政治・経済に目を戻すと、米国では先日行われたオバマ大統領の2期目の大統領就任式前に『財政の崖』問題はとりあえず一息つきましたが、引き続き連邦政府の債務上限見直しや銃規制、移民規制、雇用創出、海外派遣・駐留軍の再編などの諸問題が山積みで2期目も全く安閑としていられません。

日本では、安倍新首相と復活自民党政権の成立後急激な円安・株高で輸出企業を中心に追い風が吹いて表面上は幸先良い船出となった格好ですが、逆に食品・食材、原材料、衣料品などの輸入品はコストアップとなるため、日本経済全体が底上げされてデフレ状態を脱出し、生産・売上げアップ、企業収益改善、給与・家庭収入・可処分所得増、消費拡大、景気回復の好循環に入るにはまだまだ時間が掛かりそうです。

さて、今回のタイトルは『本質を見極める』です。

大容量高速通信技術・システム・ネットワークの飛躍的な進歩のお陰で私達は瞬時にと言っても過言でない程世界中の最新の出来事やニュースを知ることが出来る一方、ありとあらゆる情報が洪水のように押し寄せ身の回りに氾濫しています。中には不急・不要の情報、にせ・うそ情報、誤情報も多く、誤解や怒り・憎悪を招くもの、不安を煽るもの、他人を騙したり陥れたりするもの、侮辱し、辱めたり貶めるものなど知らない方が良かった情報、元々発信すべきでなかった情報も数え切れない程あります。

このような情報洪水・氾濫の環境下に置かれている私達は情報の波に飲み込まれないように物事の「本質を見極める」、少なくともその努力を絶えず続ける必要があります。

自分が何か反応、発言、行動する前に一体何が真実なのか?何が本当なのか?何が正しいのか?は最低限、最小限の問いとして当然ですが、時と場合により何が目的なのか?何が狙い・目標なのか?タイミングはベストか?リソース(ヒト・モノ・カネ)を考慮した考え方、方法は適切か?なども自問してみることです。

そして発言・行動に移す前最後にもう一つ「それをした結果、相手はどう思うか?相手や世間に対してどういう影響があるか?どんな結果になるか?」を予想し、実行することの善悪を判断してから最終決定することです。

「何人も自分の言動を自ら選択・決定し実行は出来るが、その結果として起こる影響まではコントロール出来ない」という言葉がありますが、正にその通りで独りよがりや思い込みが強過ぎて取った言動のために自分では思ってもいなかった影響が出たり、思わぬ事態に発展したり、期待外れの結果になってしまう場合が多々あります。

そうならないように、物事の「本質を見極める」努力を怠ってはなりません。そのためにはやはり普段から身の回りに溢れる情報の中で何が本当なのか、本物なのか、正しいのかを選別し判断出来る目を養い、自分はいつ、どこで、またどんな方法で何を言うべきかあるいはすべきかを起こりうる影響と結果も予想した上で実行に移す配慮が不可欠です。

今流行のSNS(ソシアル・ネットワーキング・サービス)やインターネットで日本中、世界中で何百万人、何千万人もの利用者がいるTwitterやFacebook、Eメールやブログなどで世間の出来事や他者の発言に対して刹那的に反応して節操のない感情的なコメントや書き込みをする風潮は目に余るものがあります。不快なもの、悪意に満ちたもの、憎悪や嫌悪を撒き散らし負の感情を連鎖的に伝染させるものなど常識と節操のあるまともな人ならば決して言わない、書かないような酷い内容のものがあります。

日本のある脳学者の研究発表によると、普段から物事を時間を掛けてじっくり考える人の脳神経の先端はどんどん伸びて複雑な網の目を構成し、難しい問題、困難な状況でも我慢強くベストの答え、解決策を考え出せるようになる、と読んだ記憶があります。逆に深く考えずに刹那的、即興的、感情的な反応ばかりしているとこの脳神経の端末の成長が止まってしまい、難問解決、、障害克服、困難打破が難しくなるとのことです。この発表の真偽については検証し難いですが、自分自身の限られた経験では当たっているような気がします。

2月は一番短い月で毎年あっと言う間に過ぎてしまいますが、皆さん今年は少し時間を取っていつもなら簡単に返事をしたり、処理してしまう事柄を脳に汗をかく程じっくり考えて、「本質を見極める」努力をしてみては如何でしょうか?

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。