先月号の原稿締切り時にワールドシリーズを戦っていたデトロイト・タイガースは4連敗であっさりサンフランシスコ・ジャイアンツの軍門に下り、残念ながら地元ファンの期待に応えられませんでした。3連敗から4連勝という2004年のボストン・レッドソックスのミラクル再現はなりませんでしたが、奇跡は滅多に起こらないから奇跡なのであって、しょっちゅうあったら奇跡ではありません。所詮無理な願い事でしたね。チームには来年更なる飛躍に期待しましょう。

 さて、師走に入り今年も残り4週間程。辰年は過去のものとなり、巳年がやって来ます。4歳の女の子にまで「大統領選なんて嫌い!」と言わせたウンザリする程長く激しいキャンペーン合戦が続いた大統領選も先月初めにようやく決着し、現役のオバマ大統領が再選されました。投票日直前に北東部を襲ったハリケーン・サンディーはニュージャージー、ニューヨーク両州を初めとし、各地に甚大な被害をもたらして忘れられない選挙となりましたが、被災者の方々には心よりお悔やみ申し上げます。

 さて、今回のテーマはその大統領選に関連して【立ちはだかる『財政の壁』】です。

 皆さんもこのところ毎日のようにニュース放送やメディア報道でFiscal Cliff(フィスカル・クリフ=財政の崖)という言葉を耳にタコ、目にイカ(とは言いませんね)が出来る程見聞きされていると思います。

 既にご存知のように、ブッシュ前大統領の政権当時から延長され続けて来た特別減税の特典が本年末でいよいよ打ち切りとなり、同時に既に議会承認されている連邦歳出削減法が自動的に発効する米国企業と国民にとってはダブルパンチの景気後退要因です。それが正に急な崖を滑り落ちる様に例えられて『財政の崖』と呼ばれており、TVニュースでも車が崖の端に引っ掛かってブラブラと宙吊りになっている映像をご覧になった方も多いと思います。

 もし、このまま減税打ち切りと歳出削減が予定通り実行されると、その影響はお膝元の米国だけに留まらず、世界中に大規模な負の連鎖をもたらすと予想されています。末端消費、自動車販売、雇用、株価、住宅市場などようやく少しずつ回復しつつある米国経済を急激に冷え込ませ、まず間違いなく再び景気後退から不景気・恐慌に発展する恐れがあります。

 オバマ大統領、上下院議員、その他の政治家、企業経営者、投資家はずっと以前から、また米国民の大多数も今回の大統領選挙活動中の話題に取り上げられたので問題意識は十分の筈ですが、その問題の答え=解決策を見出して民主・共和両党の合意を取り付け、上下院の議会承認を経て大統領の承認署名に辿り着くまでの道のりが険しく、こちらも崖に近いような急な上り坂が続いています。

 こうなる事は皆分かっていながら、国民不在の如くに2大政党間の党利党略優先のパワーゲームによる駆け引きやティーパーティーなど党内外の異論派、独立・無所属派の選挙対策を念頭に置いた人気取り、我田引水的言動にも振り回されてその場凌ぎの先延ばし、先延ばしを繰り返して来たツケがとうとう最後に回って来て、最早逃げ道のない断崖絶壁に追い込まれた状態です。

 次は一体どうなるかハラハラ、ドキドキのCliff Hanger(映画の題名にもあったクリフ・ハンガー)的な要素はTVドラマだけで結構。もうこれ以上この大統領選挙後の最優先・最重要課題を先送り、解決策の先延ばしは出来ません。

 ここ3~4週間のニュース報道では、選挙直後こそ民主党も共和党も大統領や有力議員から多少のリップ・サービス的歩み寄り発言はあったものの、基本的に前と同じ様な考え、意見を繰り返しているばかりで大きな歩み寄りはありません。私のニューヨーク勤務時代の米人上司が、「小さな痛みを薬を飲みながら騙し騙しずっと耐えているよりも、大きな痛み(手術)を一度だけ耐える方がベター」と言っておりました。今が手術の時ですね。

 一度に八方美人的で完璧な解決策はとても無理としても、せめて『大岡裁き』の話にあるような『三方一両損』方式でそれぞれ多少痛みを分かち合いながらも、国民が期待している即効性と継続性・発展性を併せ持った妥協案が期限ぎりぎりでなく一日も早く作成・合意され、清々しく新年のスタートを迎えられる事を強く願うばかりです。

 皆さんも公私共に小さな痛みをずっと先延ばしなさらないようにご留意下さい。

 では少し気が早いですが、皆様楽しいクリスマスと良い新年をお迎え下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 先月号の原稿締切り時にワールドシリーズを戦っていたデトロイト・タイガースは4連敗であっさりサンフランシスコ・ジャイアンツの軍門に下り、残念ながら地元ファンの期待に応えられませんでした。3連敗から4連勝という2004年のボストン・レッドソックスのミラクル再現はなりませんでしたが、奇跡は滅多に起こらないから奇跡なのであって、しょっちゅうあったら奇跡ではありません。所詮無理な願い事でしたね。チームには来年更なる飛躍に期待しましょう。

 さて、師走に入り今年も残り4週間程。辰年は過去のものとなり、巳年がやって来ます。4歳の女の子にまで「大統領選なんて嫌い!」と言わせたウンザリする程長く激しいキャンペーン合戦が続いた大統領選も先月初めにようやく決着し、現役のオバマ大統領が再選されました。投票日直前に北東部を襲ったハリケーン・サンディーはニュージャージー、ニューヨーク両州を初めとし、各地に甚大な被害をもたらして忘れられない選挙となりましたが、被災者の方々には心よりお悔やみ申し上げます。

 さて、今回のテーマはその大統領選に関連して【立ちはだかる『財政の壁』】です。

 皆さんもこのところ毎日のようにニュース放送やメディア報道でFiscal Cliff(フィスカル・クリフ=財政の崖)という言葉を耳にタコ、目にイカ(とは言いませんね)が出来る程見聞きされていると思います。

 既にご存知のように、ブッシュ前大統領の政権当時から延長され続けて来た特別減税の特典が本年末でいよいよ打ち切りとなり、同時に既に議会承認されている連邦歳出削減法が自動的に発効する米国企業と国民にとってはダブルパンチの景気後退要因です。それが正に急な崖を滑り落ちる様に例えられて『財政の崖』と呼ばれており、TVニュースでも車が崖の端に引っ掛かってブラブラと宙吊りになっている映像をご覧になった方も多いと思います。

 もし、このまま減税打ち切りと歳出削減が予定通り実行されると、その影響はお膝元の米国だけに留まらず、世界中に大規模な負の連鎖をもたらすと予想されています。末端消費、自動車販売、雇用、株価、住宅市場などようやく少しずつ回復しつつある米国経済を急激に冷え込ませ、まず間違いなく再び景気後退から不景気・恐慌に発展する恐れがあります。

 オバマ大統領、上下院議員、その他の政治家、企業経営者、投資家はずっと以前から、また米国民の大多数も今回の大統領選挙活動中の話題に取り上げられたので問題意識は十分の筈ですが、その問題の答え=解決策を見出して民主・共和両党の合意を取り付け、上下院の議会承認を経て大統領の承認署名に辿り着くまでの道のりが険しく、こちらも崖に近いような急な上り坂が続いています。

 こうなる事は皆分かっていながら、国民不在の如くに2大政党間の党利党略優先のパワーゲームによる駆け引きやティーパーティーなど党内外の異論派、独立・無所属派の選挙対策を念頭に置いた人気取り、我田引水的言動にも振り回されてその場凌ぎの先延ばし、先延ばしを繰り返して来たツケがとうとう最後に回って来て、最早逃げ道のない断崖絶壁に追い込まれた状態です。

 次は一体どうなるかハラハラ、ドキドキのCliff Hanger(映画の題名にもあったクリフ・ハンガー)的な要素はTVドラマだけで結構。もうこれ以上この大統領選挙後の最優先・最重要課題を先送り、解決策の先延ばしは出来ません。

 ここ3~4週間のニュース報道では、選挙直後こそ民主党も共和党も大統領や有力議員から多少のリップ・サービス的歩み寄り発言はあったものの、基本的に前と同じ様な考え、意見を繰り返しているばかりで大きな歩み寄りはありません。私のニューヨーク勤務時代の米人上司が、「小さな痛みを薬を飲みながら騙し騙しずっと耐えているよりも、大きな痛み(手術)を一度だけ耐える方がベター」と言っておりました。今が手術の時ですね。

 一度に八方美人的で完璧な解決策はとても無理としても、せめて『大岡裁き』の話にあるような『三方一両損』方式でそれぞれ多少痛みを分かち合いながらも、国民が期待している即効性と継続性・発展性を併せ持った妥協案が期限ぎりぎりでなく一日も早く作成・合意され、清々しく新年のスタートを迎えられる事を強く願うばかりです。

 皆さんも公私共に小さな痛みをずっと先延ばしなさらないようにご留意下さい。

 では少し気が早いですが、皆様楽しいクリスマスと良い新年をお迎え下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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