ハロウィーンも過ぎて今年も残すところ2ヶ月弱となりました。大統領選を目前にして季節外れのハリケーン襲来で米国北東部に時ならぬ緊張が漲りましたが、事前の警報と最善の準備で何処にも大きな被害が出ない事を祈るばかりです。

 さて、先月号発行時に気をもんでいたデトロイト・タイガースは見事ALセントラル・ディビジョンで優勝し、プレイオフ進出。ディビジョン・シリーズではレギュラーシーズン終末で最も勢いのあったオークランド・アスレチックスを最終第5戦までもつれながらも撃破。ワールド・シリーズ進出を賭けたALチャンピオンシップ・シリーズではイチロー選手が移籍したニューヨーク・ヤンキースに4連勝と圧倒して久し振りに地元に明るい話題を提供しました。本原稿作成時点ではワールド・シリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツに敵地で2連敗と苦しいスタート。地元に戻った第3戦以降の奮起を期待。本紙が発行される頃には最終結果が出ている筈ですが、更なる吉報を願っています。(と原稿を書いていたところで第3戦も負けて3連敗。ワールド・シリーズだけでなくプレイオフで3連敗から4連勝で優勝したのは、2004年のボストン・レッドソックスのみ)史上2度目の奇跡を起こせ!ゴー、タイガース!!

 さて本題ですが、今回は少し堅いテーマで『不透明な時代の人事戦略』です。

 20世紀の高名なケインズ派経済学者であったジョン・ケネス・ガルブレイスの著書『不確実性の時代』のタイトルではありませんが、21世紀に入って10年余り経った今も我々を取り巻く環境は不確実性に満ち溢れ、マクロあるいはミクロどちらの視点から見ても経済的にも政治的にも地球上の各地で先行き不透明で不安定な社会情勢が続いています。

 こうした中で、日本国内はもとより海外へ進出している数多くの日系企業はどのような経営戦略で対応して行くべきなのでしょうか?

 余りに大きな命題なのでとても私ごときが明快な答えを出せる筈もありませんが、日本の親会社の状況や進出先それぞれのお国の事情(政治・社会情勢、経済・市場動向など)、現地の子会社・関連会社の状況によって当然異なるでしょう。

 一つだけ間違いなく言えそうな事は、これだけあらゆる面でグローバル化が進み、携帯電話、インターネット、ソシアルネットワークなどの情報・通信システムが何処か世界の片隅の出来事まで瞬時に世界中に伝えてしまい、ビジネスの業態やビジネスの存在そのものまで影響してしまう世の中にあっては、環境の変化、市場の立地・規模・ニーズの変化に素早く適切に対応できない企業は生き残れないだろうという事です。

 手元の資料によれば、1955年から格付けがスタートした米国のフォーチュン500社で初年度にランク入りした企業の中で昨年2011年もランク入りしている企業は67社のみ。何とわずか13%強の数字です。半世紀余りの間にその時々に強大な力を持ち大きな成果を収めていた有名企業ですら成功と発展を続けられず、ランク落ちしてしまったのです。姿を消してしまった企業もあります。

 「驕る平家は久しからず」で飛ぶ鳥を落とす勢いの企業でさえも栄枯盛衰の波に飲まれてしまった訳です。その原因は様々でしょうが、多かれ少なかれ「変化に対応できなかった」事がある筈です。直近四半世紀で大きな変化の例として手巻き時計からクォーツ・ウォッチ、アナログからデジタル、スネールメールからEメール、現金からキャッシュレス、紙・印刷文化からペーパーレスなどがあります。最近ではあのニューズ・ウィークが紙媒体の配信を止めて電子版だけに集中するというニュースがありました。

 今は企業規模の大きさ、従業員の多さが必ずしも強みにならないどころか弱みやリスクとなる恐れがありますが、こうした中で企業の人事戦略はどう考えればいいのでしょうか?もちろん、経営戦略と密接に連動していなければなりませんが、変化に対して迅速かつ的確に対応するためには、人事部門もそのように意識と行動を変えねばなりません。

 トップダウンの指示や各部門からの求人依頼を受けてから社内外で候補者探しを始め、履歴書・職務経歴書などの書類審査・選考、電話・スカイプ・直接面談による候補者面接、給与待遇などの採用条件交渉・提示、犯罪歴・身辺調査、採用と一般的な手順を踏んでいたのでは、いつも後手、後手の対応となりタイミングも候補者マッチングのレベルも不十分な結果になりかねません。

 実績と能力を評価する人事考課も従来のパターンで年に一度では半年から1年も前の古い出来事を振り返ることになり、過去の反省と改善が主で、そこから次の目標を新たに設定していたのではその間に起きた変化には適応できません。重要なのは今起こりつつある変化、今後起こる変化に如何にタイムリーに対応して行くかです。そのためには年に一度長い時間を掛ける人事考課ではなく、毎回の時間は短くても余り間隔を開けずに個人やチームとの面談・打ち合わせの回数を増やす事です。しかしながら、「会議ばかりで仕事が進まない」状況にならぬように要注意です。

 人事部門もプロアクティブに動く必要が強まっています。刻々と変わる小さな変化、突然訪れる大きな変化にもベストの対応ができるように人事部門も常に会社トップと会社方針、経営戦略、事業計画を確認するだけでなく、各部門の現場に足を運び部門長や管理・責任者だけでなく最前線の作業者、営業マン、エンジニアなどに直接現場の状況や今後の動きに見合う人材ニーズを聞き取り、オンタイムまたはジャストインタイムで適格な人材を供給できるように先行して社内外の人材(人財)バンクを形成しておかねばなりません。

 また、一旦人を配置したら終わりではなく、フォローアップ、アフターケアをしながら人材ニーズに変化はないか、同じ人材で次の変化に対応可能か、人事関連のシステムやプロセスは今のままで大丈夫かなどハンズオンでプロアクティブの思考と行動がますます重要です。

 微力ながらその辺りのお手伝いをさせて頂ければと思っておりますので、何か人事関連の悩みをお持ちでしたらお気軽にご一報下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 ハロウィーンも過ぎて今年も残すところ2ヶ月弱となりました。大統領選を目前にして季節外れのハリケーン襲来で米国北東部に時ならぬ緊張が漲りましたが、事前の警報と最善の準備で何処にも大きな被害が出ない事を祈るばかりです。

 さて、先月号発行時に気をもんでいたデトロイト・タイガースは見事ALセントラル・ディビジョンで優勝し、プレイオフ進出。ディビジョン・シリーズではレギュラーシーズン終末で最も勢いのあったオークランド・アスレチックスを最終第5戦までもつれながらも撃破。ワールド・シリーズ進出を賭けたALチャンピオンシップ・シリーズではイチロー選手が移籍したニューヨーク・ヤンキースに4連勝と圧倒して久し振りに地元に明るい話題を提供しました。本原稿作成時点ではワールド・シリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツに敵地で2連敗と苦しいスタート。地元に戻った第3戦以降の奮起を期待。本紙が発行される頃には最終結果が出ている筈ですが、更なる吉報を願っています。(と原稿を書いていたところで第3戦も負けて3連敗。ワールド・シリーズだけでなくプレイオフで3連敗から4連勝で優勝したのは、2004年のボストン・レッドソックスのみ)史上2度目の奇跡を起こせ!ゴー、タイガース!!

 さて本題ですが、今回は少し堅いテーマで『不透明な時代の人事戦略』です。

 20世紀の高名なケインズ派経済学者であったジョン・ケネス・ガルブレイスの著書『不確実性の時代』のタイトルではありませんが、21世紀に入って10年余り経った今も我々を取り巻く環境は不確実性に満ち溢れ、マクロあるいはミクロどちらの視点から見ても経済的にも政治的にも地球上の各地で先行き不透明で不安定な社会情勢が続いています。

 こうした中で、日本国内はもとより海外へ進出している数多くの日系企業はどのような経営戦略で対応して行くべきなのでしょうか?

 余りに大きな命題なのでとても私ごときが明快な答えを出せる筈もありませんが、日本の親会社の状況や進出先それぞれのお国の事情(政治・社会情勢、経済・市場動向など)、現地の子会社・関連会社の状況によって当然異なるでしょう。

 一つだけ間違いなく言えそうな事は、これだけあらゆる面でグローバル化が進み、携帯電話、インターネット、ソシアルネットワークなどの情報・通信システムが何処か世界の片隅の出来事まで瞬時に世界中に伝えてしまい、ビジネスの業態やビジネスの存在そのものまで影響してしまう世の中にあっては、環境の変化、市場の立地・規模・ニーズの変化に素早く適切に対応できない企業は生き残れないだろうという事です。

 手元の資料によれば、1955年から格付けがスタートした米国のフォーチュン500社で初年度にランク入りした企業の中で昨年2011年もランク入りしている企業は67社のみ。何とわずか13%強の数字です。半世紀余りの間にその時々に強大な力を持ち大きな成果を収めていた有名企業ですら成功と発展を続けられず、ランク落ちしてしまったのです。姿を消してしまった企業もあります。

 「驕る平家は久しからず」で飛ぶ鳥を落とす勢いの企業でさえも栄枯盛衰の波に飲まれてしまった訳です。その原因は様々でしょうが、多かれ少なかれ「変化に対応できなかった」事がある筈です。直近四半世紀で大きな変化の例として手巻き時計からクォーツ・ウォッチ、アナログからデジタル、スネールメールからEメール、現金からキャッシュレス、紙・印刷文化からペーパーレスなどがあります。最近ではあのニューズ・ウィークが紙媒体の配信を止めて電子版だけに集中するというニュースがありました。

 今は企業規模の大きさ、従業員の多さが必ずしも強みにならないどころか弱みやリスクとなる恐れがありますが、こうした中で企業の人事戦略はどう考えればいいのでしょうか?もちろん、経営戦略と密接に連動していなければなりませんが、変化に対して迅速かつ的確に対応するためには、人事部門もそのように意識と行動を変えねばなりません。

 トップダウンの指示や各部門からの求人依頼を受けてから社内外で候補者探しを始め、履歴書・職務経歴書などの書類審査・選考、電話・スカイプ・直接面談による候補者面接、給与待遇などの採用条件交渉・提示、犯罪歴・身辺調査、採用と一般的な手順を踏んでいたのでは、いつも後手、後手の対応となりタイミングも候補者マッチングのレベルも不十分な結果になりかねません。

 実績と能力を評価する人事考課も従来のパターンで年に一度では半年から1年も前の古い出来事を振り返ることになり、過去の反省と改善が主で、そこから次の目標を新たに設定していたのではその間に起きた変化には適応できません。重要なのは今起こりつつある変化、今後起こる変化に如何にタイムリーに対応して行くかです。そのためには年に一度長い時間を掛ける人事考課ではなく、毎回の時間は短くても余り間隔を開けずに個人やチームとの面談・打ち合わせの回数を増やす事です。しかしながら、「会議ばかりで仕事が進まない」状況にならぬように要注意です。

 人事部門もプロアクティブに動く必要が強まっています。刻々と変わる小さな変化、突然訪れる大きな変化にもベストの対応ができるように人事部門も常に会社トップと会社方針、経営戦略、事業計画を確認するだけでなく、各部門の現場に足を運び部門長や管理・責任者だけでなく最前線の作業者、営業マン、エンジニアなどに直接現場の状況や今後の動きに見合う人材ニーズを聞き取り、オンタイムまたはジャストインタイムで適格な人材を供給できるように先行して社内外の人材(人財)バンクを形成しておかねばなりません。

 また、一旦人を配置したら終わりではなく、フォローアップ、アフターケアをしながら人材ニーズに変化はないか、同じ人材で次の変化に対応可能か、人事関連のシステムやプロセスは今のままで大丈夫かなどハンズオンでプロアクティブの思考と行動がますます重要です。

 微力ながらその辺りのお手伝いをさせて頂ければと思っておりますので、何か人事関連の悩みをお持ちでしたらお気軽にご一報下さい。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

返事を書く

コメントを記入してください
お名前を記入してください