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多くの日本人が通うバレエ・スタジオ 新スタジオのオープン&ガラ公演

 8月18日、国内外の一流ダンサーが多数出演するガラ公演(豪華な出演者を取り揃えた特別なコンサート)が昨年に引き続きアナーバーのパワーセンターで開催された。このプログラムは、Wixomにスタジオを構えるロシア・クラシックバレエ・アカデミー(以後ARCB)の主催によるもので、他校の教師や現役プロダンサーを迎えて行なわれた2週間にわたる集中練習プログラムの最終日に、参加した生徒たちの成果を発表し、また、インストラクターを務めた人々をはじめとするトップレベルのダンサーたちが一堂に会してパフォーマンスを披露するイベント。クラシックバレエの本場であるロシアや、ベルギー、ドイツなどの著名なバレエ団に所属するダンサーの名が並び、総勢13名による豪華なプログラムが届けられた。このような贅沢な顔ぶれが実現したのは、ARCBのディレクターであるロシア出身のセルゲイ・ライエフスキー氏の人脈の成すところ。当地の人々にとって稀な機会となった。

 オープニングには、内容の濃い集中練習や個人指導によってレベルアップした生徒たちが2グループに分かれて、ロシアンダンスとしてポピュラーな「カリンカ」と、クラシックバレエ「エチュード」を披露。可愛らしさの中に凜とした表情があり、達成感と自信が培われたことが感じられた。プロダンサーによる演目は、クラシックバレエとコンテンポラリーを織り交ぜ、バラエティに富んだ曲とダンス形式でソロまたはペアによるパフォーマンスが繰り広げられた。「Stars of Russian Ballet」との題に相応しく、華麗な技が続々と披露され、それぞれの個性が観客を魅了し、会場には感嘆の声と拍手が溢れた。トップレベルの舞台を生で感じる素晴らしさを満喫することができた。 このARCBによる夏の集中プログラムとガラ公演を合わせた「ロシアバレエ・フェスティバル」は今年で3回目を迎えたが、今回の集中プログラムはオープンして間もない新スタジオで催され、記念すべきものになった。この8月にライエフスキー氏のかねてからの夢だった自社ビル開設が実現したばかりだ。元は広大な倉庫だった建屋を大改装して4つのスタジオを設置。うち2室はバスケットコートが悠に収まるほどの広さと、高い天井が確保されている。窓から自然光が燦々と入り、真新しい床や壁の鏡に反射し、まばゆいほど。受付、待合スペースも広々として新装らしい明るさが広がる。着替え用の部屋は数部屋あるという贅沢さだ。

マリインスキーバレエ団アンドレイ先生によるコンテンポラリークラス 元ボリショイバレエ団オルガ先生の上級クラス

 アカデミーのアシスタントディレクターを務める小西貴子(TAKAKO)先生が新スタジオを案内してくださった日は、2週間の集中プログラムの終盤。ロシアンバレエ・フェスティバルと称しているこの期間には講師陣に、ライエフスキー氏が在籍したロシアのワガノワ・アカデミー出身で現在マリインスキーバレエ団のソリストである男性や、同ワガノワ・アカデミーを卒業してアメリカ人として初めてロシアで公式なディプロマを得た女性、また、元ボリショイバレエ団にも籍を置いた女性をはじめ、国際的に活躍する現役のパフォーマーをインストラクターに迎え、連日数時間の指導が行なわれた。

元サラソタバレエ団フィリップ先生の初中級クラス ガラ公演・オープニング・リハーサル

 受講者は同スタジオの生徒だけでなく、他州からの参加者も多いそうだ。通常のA R C Bには現在約130名の生徒が所属しているが、この集中プログラムについてはバレエ歴2年以上、8歳以上と限定し、オーディションによって4つに分けられたクラスに少年少女約50人が参加。人種の多様さがこのアカデミーの特徴の一つでもあるが、プログラムには、内10人が日本人という高い割合だった。日本ではめったに無い内容だという話なので、熱意がより高 いのだろう。どの参加者も一つ一つの指示と技を吸収しようと真剣そのもので、観ているこちらも背筋が伸びた。

元サラソタバレエ団フィリップ先生の初中級クラス
ガラ公演・オープニング・リハーサル

 朝スタートした全体練習が4時に終わった後、各スタジオで個人レッスンが始まったが、その中に日本人少女の姿があった。West Bloomfield 在住の鈴木愛里さん(12歳)は同スタジオの生徒で、2 0 1 2 年YAGP (Youth America Grand Prix) という国際的なコンクールの日本予選に参加し、9~11歳のカテゴリー(100名出場)でトップ12に入賞、2年連続でニューヨーク決戦に出場し、ジョフリーバレエ学校から奨学金を獲得したという才能の持ち主。毎年、他州で行われる夏期プログラムにも参加し、今年の1月から3月にはモスクワのボリショイバレエ学校に単身で留学を果たした。愛里さんは今回のプログラムでは連日数時間のカリキュラムをこなした上、可能な限り個人レッスンも取ったそうだ。日本から幼馴染の友人も共に参加していたが、二人とも楽しくて仕方ない様子だった。愛里さんの母親は、この集中プログラムについて、「現役のプロのダンサーの指導を受けられるだけでなく、その姿を間近に見ることが出来る機会。プロは空き時間にもストレッチをするなど影で努力をしていることなどを学んで欲しい。トップの人を集めた2週間はとても貴重」「スタジオの外からのいろんな子と切磋琢磨することもできる」と意義を語る。

スタジオロビーにて休憩時間の生徒たち

 ゲスト講師でもあるダンサー達は、ライエフスキー夫妻の自宅に寝泊りするため、それまでは名を知りながらも面識の無かったダンサー同士が共に過ごして親交を深めたり、ネットワークを築いたりすることができ、彼らにとっても意義は大きい。 自社ビルのスタジオ開設という夢を実現した次の目標はミシガンにバレエ団を創ることだという。有望なダンサーを育て、ネットワークも構築しているライエフスキー氏であれば、近い将来、可能であろうと期待が膨らむ。プロ養成も目指している質の高いバレエ・スタジオであるが、広く初心者から受け入れている。バレエとは無縁な方にもスタジオ見学をお勧めしたい。週6日毎日3時間余、練習に通う生徒が少なくないという。真摯にとり組む姿勢に心を打たれ、何かに情熱を傾けたいという意欲が湧くことだろう。

 来年(2013年)のガラ公演「Stars of Russian Ballet」は既に8月17日と決まっている。今回見逃した方もミシガンでトップレベルの豪華な舞台をぜひ!

ロシア・クラシックバレエ・アカデミー(Academy of Russian Classical Ballet)

46969 West Road. Wixom, MI 48393
ウェブサイトwww.russianclassicalballet.com
お問い合わせ(日本語可):248-767-3888
Eメール:russianclassicalballetjpn@hotmail.com

ARCBのディレクター: セルゲイ・ライエフスキー氏とスタジオ

 セルゲイ・ライエフスキー氏は旧ソ連邦の生まれ。ロシア最古の国立バレエ学校で、アンナ・パブロバ、ヌレエフ等を輩出した超エリート養成機関であるワガノワ・アカデミー・オブ・ロシアンバレエに入学し10才でプロへの道をスタート。14才の時に家族と共にアメリカに移住し、ワガノワのアメリカ分校に相当するキーロフ・アカデミーに転校。そこで現ジェシカ夫人に出会う。キーロフ・アカデミーを優秀な成績で卒業後、ジェシカ夫人と共に舞台活動に入りトップダンサーとして歩み始めたが、数年後、脚に再起不能の重傷を負い、20代前半という若さで引退。ジェシカ夫人の両親を頼ってミシガンに移り、ダンサーとしての道を断たれた絶望の中、氏の経歴を知ったスポーツクラブの経営者からバレエクラスの指導を持ちかけられ、教師として生きることを決めた。2004年には自身のスタジオを構えて独立。将来100人程度の生徒を確保するのがゴールだったが、わずか1ヶ月で100人を突破。その後も入会希望者が後をたたない。独立時からアシスタントディレクターを務めるTAKAKO先生が指導するバレエクラスは日本人が多く、日本語による成人向けクラスも開催されてている。英語、日本語、ロシア語が飛び交う国際的なバレエスタジオである。

*参照:Dr.Veronica Ichikawa執筆、弊紙2006年6月号掲載「在米日本人像」ロシア・クラシックバレエ・アカデミーにて