
去る7月28〜29日、ディアボーン市のThe Henry Fordにて、2日間の大イベント「Maker Faire Detroit 2012」が行われた。フォード博物館内と駐車場に広がる会場には450組以上の個人やグループ制作ブースが広がり、子供から大人までが楽しめる工芸アートと科学の遊び場となっていた。当イベントは2006年より制作雑誌「Make Magazine」によってアメリカ各地で催されており、デトロイトでの開催は今年で3年目。ニューヨークやカリフォルニアに並ぶ規模を誇り、今年は10万人を動員し大成功となった。各出店の規模や内容は様々であり、映画「スターウォーズ」の本格的レプリカづくりの趣味団体や、レゴ展示と体験エリア、女性客の足を止めていたジュエリーやバッグ販売など、ネタは底なしと感じられた。最新コンピューター技術を駆使した機器やそれを使った作品が多い一方で、昔ながらの手法による自然材の箒(ほうき)や、木の糸回しで紡んだ毛糸などの実演や販売もあり、産業の推移を学べる場でもあった。ハイスクール・ロボコン(ロボット・コンテスト)の受賞作品の展示コーナーには学生達の活動をサポートしている保護者たちも説明役を担っていた。保護者らがそれぞれの専門を活かして工具の使い方やプログラミングの方法を指導しているそうだ。多くの企業による寄付金も得ているとのことで、若者達の夢と意欲の実現に大人達ができる限りのサポートを惜しまない環境があることが分かる。学生達の制作場所はMake Magazineが運営している工房スペース「MAKER WORKS」。ちなみに、商業目的であれ趣味であれ、1日単位や長期で工房使用の契約をすることができる。
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日本に関係する内容で注目を浴びていたのは、東京都市大学環境情報学部の小池星多准教授による小型ソーシャルロボット‘mugbot(マグボット)’。このプロジェクトは小池准教授が滞在しているインディアナ大学の研究の一環として開発され、将来的には家庭でも気軽に入手できる安い価格で、自分で簡単に作れる便利ロボットを目指して設計されている。外のパーツは100円ショップで購入したプラスティックのガップや容器といった身近なものに拘り、大衆性を強調。ソフトウェアや内蔵コンピューターは、より多くのユーザーに利用可能なオープンソース(設計図の一般公開)で開発されている。ネット上のサイトに文字を入力すると、小型の愛らしいロボットはやさしい音声で言葉を発し、スマートフォンで操作することで自由に動かすこともできる。まさにフェアのテーマ「自分でできる(DIY: Do It Yourself)」に相応しいプロジェクトである。もう一つの日本に関連したブースは、日本発(任天堂による開発・販売)で世界的に爆発的なブームを起こしたファミコンやゲームボーイ(携帯型ゲーム機)など、懐かしいゲーム機器を改造して音楽を創りだしている‘ピコピコ・デトロイト’のグループ。ライブ演奏も行なわれ、大勢の観客が足を止めて聴き入っていた。どちらも内容の良さが評価され、審査員によるエディター賞を獲得した。小池准教授は日本でのメーカーフェアへの参加経験もあり「日本では大学施設などを会場にしていて来場者はこれ程ではないし、雰囲気が随分異なる。ここは博物館を会場にしていることがユニーク。親子連れも多く‘ものづくり’に対する層の厚さと関心度の高さが感じられる。デトロイトの地域性なのでしょうね」と感想を語った。
当イベントは非営利目的の団体やプロジェクトなら誰でも応募が可能。来年の参加者と内容の更なる広がりが期待されるイベントだ。
Explore More Of The D.I.Y. World!
Maker Fair Detroit 2012
Website: www.makerfairedetroit.com
Star Wars Fan Group “Great Lakes Garrison”
Website: www.greatlakesgarrison.com
Social Robot “Mugbot”
Website: www.facebook.com/SocialRobotics
Gameboy Music “Piko Piko Detroit”
Website: www.pikopikodetroit.net
去る7月28〜29日、ディアボーン市のThe Henry Fordにて、2日間の大イベント「Maker Faire Detroit 2012」が行われた。フォード博物館内と駐車場に広がる会場には450組以上の個人やグループ制作ブースが広がり、子供から大人までが楽しめる工芸アートと科学の遊び場となっていた。当イベントは2006年より制作雑誌「Make Magazine」によってアメリカ各地で催されており、デトロイトでの開催は今年で3年目。ニューヨークやカリフォルニアに並ぶ規模を誇り、今年は10万人を動員し大成功となった。各出店の規模や内容は様々であり、映画「スターウォーズ」の本格的レプリカづくりの趣味団体や、レゴ展示と体験エリア、女性客の足を止めていたジュエリーやバッグ販売など、ネタは底なしと感じられた。最新コンピューター技術を駆使した機器やそれを使った作品が多い一方で、昔ながらの手法による自然材の箒(ほうき)や、木の糸回しで紡んだ毛糸などの実演や販売もあり、産業の推移を学べる場でもあった。ハイスクール・ロボコン(ロボット・コンテスト)の受賞作品の展示コーナーには学生達の活動をサポートしている保護者たちも説明役を担っていた。保護者らがそれぞれの専門を活かして工具の使い方やプログラミングの方法を指導しているそうだ。多くの企業による寄付金も得ているとのことで、若者達の夢と意欲の実現に大人達ができる限りのサポートを惜しまない環境があることが分かる。学生達の制作場所はMake Magazineが運営している工房スペース「MAKER WORKS」。ちなみに、商業目的であれ趣味であれ、1日単位や長期で工房使用の契約をすることができる。
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日本に関係する内容で注目を浴びていたのは、東京都市大学環境情報学部の小池星多准教授による小型ソーシャルロボット‘mugbot(マグボット)’。このプロジェクトは小池准教授が滞在しているインディアナ大学の研究の一環として開発され、将来的には家庭でも気軽に入手できる安い価格で、自分で簡単に作れる便利ロボットを目指して設計されている。外のパーツは100円ショップで購入したプラスティックのガップや容器といった身近なものに拘り、大衆性を強調。ソフトウェアや内蔵コンピューターは、より多くのユーザーに利用可能なオープンソース(設計図の一般公開)で開発されている。ネット上のサイトに文字を入力すると、小型の愛らしいロボットはやさしい音声で言葉を発し、スマートフォンで操作することで自由に動かすこともできる。まさにフェアのテーマ「自分でできる(DIY: Do It Yourself)」に相応しいプロジェクトである。もう一つの日本に関連したブースは、日本発(任天堂による開発・販売)で世界的に爆発的なブームを起こしたファミコンやゲームボーイ(携帯型ゲーム機)など、懐かしいゲーム機器を改造して音楽を創りだしている‘ピコピコ・デトロイト’のグループ。ライブ演奏も行なわれ、大勢の観客が足を止めて聴き入っていた。どちらも内容の良さが評価され、審査員によるエディター賞を獲得した。小池准教授は日本でのメーカーフェアへの参加経験もあり「日本では大学施設などを会場にしていて来場者はこれ程ではないし、雰囲気が随分異なる。ここは博物館を会場にしていることがユニーク。親子連れも多く‘ものづくり’に対する層の厚さと関心度の高さが感じられる。デトロイトの地域性なのでしょうね」と感想を語った。
当イベントは非営利目的の団体やプロジェクトなら誰でも応募が可能。来年の参加者と内容の更なる広がりが期待されるイベントだ。
もの作りを発見しよう!
Maker Fair Detroit 2012
公式サイト:www.makerfairedetroit.com
スター・ウォーズ同好会「グレイト・レイクス・ガリソン」
公式サイト:www.greatlakesgarrison.com
ソーシャルロボット「マグボット」
公式サイト:www.facebook.com/SocialRobotics
ゲームボーイ音楽「ピコピコ・デトロイト」
公式サイト:www.pikopikodetroit.net