五月(さつき)に入りました。先月入社式を迎えた新入生、新入社員の皆さんの4月は如何でしたでしょうか?恐らくあっという間に過ぎてしまったと言う感じでしょうか?初めて経験する事ばかりで毎日新鮮な印象を持つ反面、今まで味わった事のないプレッシャーやストレスを感じてちょっぴりブルーな気分だったり、落ち込んだりしているかもしれませんが、いわゆる5月病にならず、元気で明るく逞しい新入生、新入社員としてご活躍される事を願っております。不慣れな分だけ「ちょっとキツイな」、「大変だな」と思うこともあるでしょうが、将来自分の肥やしになると信じてめげずに頑張って下さい。

 丁度麦踏みと同じで、踏まれた麦が強く丈夫に育つのと似ています。冷たい水に晒した食べ物や染物が美味しくなり、色鮮やかになるのとも似ています。身体の筋力トレーニング同様に心の筋力トレーニングですね。身体に汗をかくのと同じ様に脳ミソにも汗をかかせて刺激し、瞬発力と耐久力を養いましょう。どんなに簡単でつまらない事でも自分なりに工夫してベストを尽くす事が肝要です。簡単な事をきちんと出来ない人に難しい事や責任の重い仕事を頼みたい、任せたいと思う人はまずいないでしょうから、手抜きする事はレベルアップ、ステップアップの機会を自ら放棄するのと同じです。簡単な事、つまらない事をゆめゆめ馬鹿にしたり、いい加減にしない事を肝に銘じて頂ければ幸いです。

 今回は『聞く、書く、見る、読むと覚える』というテーマです。

 昨今『活字離れ』が進んでいると言われますが、自分も含めた日々の暮らしの中で確かに文字を書いたり読んだりする機会や時間が減っているのが実感です。時候の挨拶、近況伺い・報告、お見舞、冠婚葬祭など従来は手紙、葉書など直筆で書いて送ったり、受け取ったりする活字ものが沢山ありましたが、筆不精な私の性格を差し引いてもはここ数年かなり減っています。

 もちろん、パソコンや携帯でのメールやワード文書、Eカード、電子ファイルなどのやり取りは多いのですが、自分で筆、ペンを持って手書きの文字を書いた物を送ったり、相手から受け取ったりする機会や量は間違いなく少なくなりました。

 「それがどうした?そういう時代なのだ」と言ってしまえばそれまでですが、何かもの寂しく味気ない感じがします。

 皆さんもご存知と思いますが、書く事の意味と効用は科学的にも証明されています。順不同でその主な効用を並べますと;

  1. 書く事によって考え、整理しまとめる一連の行為を通して思考力が高まり、脳に刺激を与え活性化する。
  2. 指先に力を入れる事で脳に刺激を与え活性化する。
  3. 耳から聞いた事を書いて、見て、読む事で2重、3重の記憶反復強化が出来、覚えやすくまた忘れにくくなる。声に出して読むと視聴覚全てを使って更にベター。書き上げた活字はグラフィックなデジタルデータとしても記憶される。
  4. 上記1から3全てボケ防止に役立つ。(笑)
  5. 2次的効用として、直筆の文字は温かみがあり、書き手の人柄・性格・感情を反映し、読み手の共感および絆・ご縁などの一体感を惹起する。

 如何でしょう?思い当たる点がおありと思います。

 実は私も入社1年目に納期対応が出来ない言い訳がきちんと出来ず、取引先の方に「頼んだ納期を覚えているのか?経験的に頭の悪い奴ほどメモを取らないのだよな」と言われ、記憶力(だけ)には自信があった私はその時は癪に障りましたが、時間が経つ程に年齢を重ねる程に「そうかもしれないな」、「確かにそうだな」と思うようになりました 。今でも忘れられない貴重な一言です。(閑話休題)

 手書きの文字はパソコンや携帯で入力する文字・絵文字とはやはり一味違います。パソコンや携帯のキーを叩いて入力するのも脳に刺激が行きますが、漢字変換にしても余り頭を使わず出来てしまうので、手書きの刺激には敵いません。

 筆が遅く、筆圧が高く、習字(毛筆、ペン習字とも)が不得手な私はどちらかというと手書きよりキー入力が便利でありがたいのですが、拙い字でたまに手書きで送る葉書、手紙の方が相手方には喜ばれるようです。皆さんもたまには時間を掛けて手書きのお便りを出される事をお勧めします。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。