<!--:en-->Traveling to Asheville, North Carolina<!--:--><!--:ja-->豊かさに触れる旅~Asheville, NC(アッシュビル)<!--:--> 4

 「ノースカロライナにあるお城を見に行きませんか?」と誘われ、「アメリカに城はないでしょ?」と思いつつインターネットで調べると、成程、確かに城か宮殿のごとき景観。別荘として建て、250室からの部屋があり、何種類もの庭園があるというから驚いた。個人の邸宅として全米最大という、この‘お城’のあるビルトモア・エステイト(Biltmore Estate)を訪れるため、ノースカロライナ州のアッシュビル(Asheville)に向かった。

Biltmore Estate

 アッシュビル(Asheville)はノースカロライナとテネシー州の境界近くの町で、国立公園グレート・スモーキー・マウンテンへの東側の拠点ともなっている。国際的にはあまり著名でないと思うが、古くからの避暑地として知られている。春は新緑と花、秋は紅葉と自然も素晴らしいが、富裕層の別荘だったのかと思われる瀟洒な家、凝った造りの公共施設などが点在し、見所が多い。

 観光の目玉といえるのが、ビルトモア・エステイトだ。鉄道で財を成した大富豪ジョージ・ヴァンダービルトが当初別荘として建てたお城のような豪邸‘ハウス’(上、中央の写真)を含む一帯‘エステイト’の見学。見渡す限りの土地が所有地という広大な敷地に、贅と趣を極めた邸宅と庭園のほかにワイナリー、農場もあり、これらも散策できる。

 邸宅は一部(といっても二桁の数の部屋)が公開されていて自由に見学できる。邸宅内は撮影禁止なので、写真を見せることができないのが残念。ホールやダイニングなどのインテリアは華美過ぎず重厚なものが多い。主寝室の豪華さや書斎の充実度に桁外れな‘富’を感じた。数ある他の寝室や居室は、それぞれの部屋の主の好みが反映されているのだろう、様々な傾向のものがあって面白い。室内ボーリング場やジムの旧式設備も残してある。地階にある使用人たちの生活空間や大きな洗濯室、キッチンなども現存されている。今にもその辺から白いエプロン姿のメイドさんが現われそうで、タイムスリップした感覚に陥った。一室にはこのエステイトを築いた折の写真が展示されていて、今のような重機が無い時代の技術で、いかに大事業であったかが分かり興味深かった。

 邸宅横のギフトショップやカフェが連なっている建物は、かつてはキャリッジ(馬車止め)だった場所を上手く使っていてユニーク。邸の逆側には整備された庭園や温室、そして‘ハイキングコース’か‘植物園‘と呼んでも過言ではない自然を残した遊歩道が続いている。

 ワイナリーは、エステイト内でありながら邸宅から車で数分(!)。テイスティングのコーナーでオリジナルのワインのリストから無料で数種類味わうことができる。ワイナリーの横に点々と続くレストランやギフトショップは歴史建造物ではないが、美しい村のように整えてあり、豪勢な館を見学した後での良い寛ぎ場所になっている。

 ちなみにエステートの外には、数年掛がりの建設に従事した技術者や工夫たちが移り住んだ村が生まれ、ヨーロッパの小さな村の趣きを残すこの地区は、現在、レストランやショップが多く、一つの見所になっている。

The Grove Park Inn Resort

 アッシュビルで、もう一箇所、「ぜひ行くように」と勧められたのがこのリゾートホテル。1913年に「世界最高のリゾートホテル」を目指してオープンした南部で最も由緒あるホテルのひとつ。自然石をふんだんに使った贅沢な造りで、国の史跡として登録されている。トーマス・エジソンやヘンリーフォード、大統領をはじめ著名人が訪れたという話。

 史跡といっても現在も宿泊ができる。高台の上という立地条件で、テラスから見る眺望は抜群。泊まらずにレストランだけ利用することも可能。夕焼けや薄暮の景色を眺めながらの食事は最高に贅沢な気分を味わえる。豪華でありながら、リゾートなのでテラス式のレストランなどはカジュアルな装いでもOK。サーバーの人も気さくなのが嬉しかった。一見の価値あり。

近郊の散策

 かつての贅沢さの名残がそこここに見られるアッシュビルだが、レンガ造りの倉庫や旧いビルなどをスタジオやギャラリーに使っている‘アート地区’は全く別の雰囲気を漂わせている。アンティック屋や空き地横のビアガーデンなども点在している。

 アッシュビルは都会的な洗練さ、ヨーロッパの田舎風な可愛らしさ、息を抜ける素朴さ、などなど、いろいろな面が楽しめる不思議なところだ。

 アッシュビルへはデトロイト周辺から車だと600マイル強、11時間。空路だとデトロイトから直行の便もあり2時間弱。ケンタッキーの山並みを楽しみながらのドライブ、そして、国立公園の中で最も訪れる人が多いグレート・スモーキーマウンテンに立ち寄るなど、車の旅もメリットが多い。近くには、アメリカで最もよく整備され、景色が美しい観光道路といわれるブルー・リッジ・パークウェイ(Blue Ridge Parkway) も通っている。

 2泊の短い日程だったが、富の豊かさを垣間見て、自然の豊かさにも触れ、リッチな気分になれた旅だった。