近藤まりなさん、ブロードウェイミュージカル・ナショナルツアー参加!

近藤まりなさんは昨年(2017年)5月にミシガン大学シアタースクールを卒業したばかり。ミシガンで育ち、当地の日系コミュニティーの文化紹介や国際交流イベントをはじめ、米国内や日本、ブラジルなど世界各地でパフォーマンスを披露してきた。ミシガン大学卒業後、エンターテイメントの都市ニューヨークに移り住み、そこを拠点に既に数々のショーに出演してきた。今回のブロードウェイミュージカル“The King and I(王様と私)”ナショナルツアーの直前には、オフ・ブロードウェイミュージカルの“K-pop”で主役を務めていた。“K-pop”はイマーシブという、客も動くスタイルの新しいショーで、優秀なブロードウェイ作品に贈られるDrama Desk Awardなどいくつもの賞を得ている。遡って2017年夏には、MUNYという夏期限定の野外シアターでの“リトルマーメード”や“アイーダ”にも出演した。

 数か月におよぶ北米各地でのThe King and Iのナショナルツアー。5月8日から13日まで7回にのぼるFox Theaterでの上演の合間に、インタビューの時間を設けていただいた。当地で育ったまりなさんにとってのミシガン帰省凱旋ともいえる公演の感想や、夢を実現する心のありようについて話を伺った。

 様々なステージに上がり、着々とキャリアを積んでいるが、まりなさんは「厳しい世界」「今をエンジョイしているけれど、先は見えない」と話す。インタビュアは「仕事・役はどのように獲得するの?」と素朴な質問を向けた。特定事務所には所属していないが、斡旋紹介するエージェントを通じて仕事を得ることもあるという。誰でもエージェントに登録できるわけではなく、これも選考会を突破する必要がある。エージェント登録はキャリアを築く上での関門といえる。募集の情報を得て、自らオーディションに臨むことも多い。

 オフ・ブロードウェイ“K-pop”の主役の座は、同じミシガン大学出である先輩のリプレース(代役)。今回の“The King and I”もリプレースとして声がかかり、ナショナルツアーの途中から加わったという。

 ちなみに、オフ・ブロードウェイとブロードウェイの区別は客席数によるもので、オフ・ブロードウェイでも人気が高くロングランのショーがいくつもある。また、ナショナルツアーはブロードウェイでの演出と同じものをそのまま上演している。

 “The King and I”は 1860年代初頭のシャム(現タイ王国)が舞台となった小説を基にしたミュージカルで、1951年の初演以来、何度もツアー公演や再演が行われている世界屈指の有名作品である。まりなさんは数人いるRoyal Wife(王妃)にキャスティングされ、他にメインキャストであるソロ歌唱の多い恋人と、セリフが多い王妃(正妻)の代役に名前が挙げられていた。Fox Theaterでは代役出演はなかったが、次の公演地で恋人タップチム役を演じた。

Q:ミシガン育ちのまりなさんにとってFox Theaterで演じた気分は?

まりなさん: 小さい時にここでステージを観て、すごいなーと思ったので、観る側からステージに立つ側に居ることができて、一つの夢が叶いました。素晴らしいシアターですし、とてもハッピーです。ここで育って、インターローケン(Interlochen Arts Academy:トラバースシティー近くの芸術高校)、ミシガン大学に通って、大切な人やお世話になった人が多くいる、私にとってふるさと、特別な所でのパフォーマンスでエキサイティングしています。

Q:「厳しい世界」とのことですが、次々に仕事を得て活躍していますね。

まりなさん: いろいろなお仕事に恵まれましたが、百くらいのオーディションを受けてダメだったんですよ。

Q:心が折れることは無かった?

まりなさん: 先輩から「簡単じゃないよ」と言われていました。友達と支え合ったり、家族のサポートがあってあきらめずにやってこられました。今は何をしなくちゃいけないか――睡眠・食事、練習などのルーティーン――を考えてこなして、自分がやってきたことを信じることが大事だと思っています。先は見えなくて、次はどうなるのかなと思うこともあるけれど、今をエンジョイするようにしています。それに、求められている役に合っていなければダメですし、「chance」と「opportunity」が一致しなくてはならないんです。そういう世界。一人ひとり違うんですよね。「私は誰か」、「何が必要か」はしっかりもたなくちゃと思います。

Q:“The King and I”出演が決まった時の心境は?

まりなさん: 辞める人の代役だったので、既にできあがっているという点では、創り上げていく面白さはないのですが、

opportunityだと受け止めました。素晴らしい経験をしています。作品については、正直いうと嫌いな作品だったのですが(笑)、女性の権利とか政治について考えさせられる要素が折りこめられていて素敵な作品だと感じるようになりました。

Q:ツアーというのは特殊?ライバルでもある人と一緒に回っていくわけですよね?

まりなさん: ツアーの魅力は世界を回れること。土地によって、観客の笑いやウケの反応が違うのが面白いです。そして、出演者やクルーと一緒にトラベルしながら公演をこなしていきますから、家族のようです。自分は年少なので、皆が可愛がってくれます。知恵や経験の豊かな人が多くて、いろいろな助言を得ています。

(アジアを舞台にしている)作品柄、日本人が8人もいて、その人たちのお話が興味深く楽しいです。コネクションを大切にしていきたいです。

Q:日本人であることを意識している? 

役への抜擢には肌の色が関係することもあると思いますが、どう受け止めていますか?

まりなさん:日本人だと特に意識はしていないかな。ソウルフードといえるのは日本食で、ダイエットにいいですし、気持ちもホッとします。日本人で良かったと思うことが多いですね。アブローチとか考えとか、(自分の中に)生きていると思います。

肌の色も含めて私の個性ですが、自分でリミットは作らないようにしています。今はアジア系の役をもらうことが多いですが、将来は超えたいです。実際に、“リトルマーメード”ミュージカルの主役(アリエル役)はアジア系の人が務めたし、アジア系の人が増えて、オープンになっています。自分もチャレンジしたいです。いろんなことを身につけなくてはいけないと思っています。まずは、今やっていることは次への準備と思ってがんばっています。

Q:今後の目標は?

まりなさん: ツアーではないブロードウェイ、やりたいです!子供のころからの夢です。舞台にこだわらず、日本や、移民の多いブラジルでのお仕事も、どんなものでも、またできたらと思います。アメリカのピアノ教則本『ピアノ・アドベンチャー』の日本語版を作る際に歌を吹き込んだことがありますが、そういうこともしたいです。

JNC:ありがとうございました。様々な分野、場所でのご活躍を楽しみにしています。

「自分がやってきたことを自信にして、自分自身を愛して続けたい。」と、まりなさんはかみしめるようにしっかりとした口ぶりと笑顔で締めくくった。

まりなさんのウェブ: www.marinakondo.com