カントリーサイドで極上のひととき のんびりとワインや食事を味わう

トロントの東、オンタリオ湖北東に飛び出した半島のような一帯がプリンス・エドワード・カウンティ(PEC)。かつての英国王子の名前をとった地名のこのエリアは18世紀のアメリカ独立戦争以降、独立を嫌う英国王党派“ロイヤリスト”たちがアメリカから移り住み、農地を開拓し静かに生活してきた地域。ローリングヒルと呼ばれる、なだらかな起伏に広がる農園・果実園、そして、素朴で豊かな景観や古めかしい佇まいの街が残されているのが魅力。オンタリオ湖の鮮やかなブルーの湖面も心を洗い流してくれる。

幹線道路“ロイヤリスト・パークウェイ”は絶好のドライブルート。この地域は、穏やかな気候ゆえにロイヤリストの時代から農場や果樹園が多かったが、近年はその土壌の良さが注目を集め、オーガニックの農場や品質にこだわるチーズ工場、ワイナリーなどが続々に誕生している。さらにトロントの有名シェフが移り住んでレストランをオープンするなど、グルメエリアとしても評判を呼んでいるそうだ。トロントから東へ200キロほど。足を延ばして、田舎の旅を楽しんでみては。

実は、トロントに行くついでに何処か立ち寄るところは無いかとオンタリオ州観光局のオフィシャルサイトで探っていたところ、“プリンス・エドワード”の文字が目に飛び込んできた。 “赤毛のアンの島”として知られるアイランドと同じ名前に惹かれた。ワインエリアと知って、寄り道先ではなく滞在先に決めた次第。1泊で、のんびりと・・はできなかったが、景観や雰囲気を楽しみつつ、ワイナリーを10件近く巡った。余談だが、「赤毛のアン」の家、グリーンゲーブルズ(緑の切妻屋根)風な家屋を何軒も見かけ、共通する良さを感じた。

まだ、それほど観光地化していないせいか、学校の夏休みとはいえ平日だったせいか、ワイナリーやレストランの人びともセカセカしていなくて穏やか。土地やワイン造りの歴史を丁寧に語ってくれたオーナーも居た。心休まる、気分爽快なショートトリップであった。

オンタリオ州観光局HP:www.ontariostyle.com

とはいえ、大都市トロント周辺の道路渋滞はラッシュアワーに限らずかなりのもの。ナビによる想定よりも1時間以上かかった。オンタリオ湖の東端キングストンや、セントローレンス川の河口エリアの島々「サウザンド・アイランズ」と合わせて数日回るのもお勧め。秋の紅葉時期には、さらに北東のローレンシャン高原やケベックシティへの途中地点としても良さそう。弊紙ウェブサイトで、「メープル街道 紅葉の旅」と検索し、閲覧いただければ幸い。

挑戦者やこだわりのある生産者による新しいワインの産地

この地でのワイン作りが本格的に始まったのはここ十数年ほど前とのこと。ワイン生産者の組合のホームページに現在載っているワイナリーが33カ所あり、特に南西部の15㎞四方に20件ほどが集中している。PECがワイン作りに最適な風土などの条件に恵まれていることが急増した主因。カルシウム豊富で水はけの良い土、そして比較的冷涼な気候は、ピノ・ノワール、リースリング、シャルドネ、カベルネ・フランなど、ヨーロッパ種のブドウ栽培に最適なのだそうだ。ワイナリーのほとんどは、家族経営や友人と立ち上げた小規模なもの。ワイナリーを訪れないと手に入らない品も少なくない。のどかな田舎道をめぐりながらのお好みワイン探しは、ワイン党ならずとも楽しい散策になることだろう。この地の風光明媚さに惹かれたゆえか、アートギャラリーやスタジオも点在している。ワイナリーツアーも組まれている。

この一帯には時代を感じるビクトリア朝の建物も多く、ワイナリーも、風格のあるお屋敷風、素朴な納屋を改造した施設、可愛いコテージ風の小屋などなど、いわゆるインスタ映えするところが多い。大半が開放的なワイナリーで、Dog Friendly:犬連れOKのワイナリーも多い。レストランを併設している所は数少ないが、ピクニックエリアやバティオで持ち込みのスナック類をつまみながら試飲やワインを楽しめる所もある。ワインの好みがはっきりしている方には、組合ホームページ:www.princeedwardcountywine.caに、ワインのスタイルによって該当ワイナリーを縛りこむ検索機能が付いているので便利。Dog Friendly、ピクニックエリアやレストランの有り無し、車いす対応についてもチェックできる。

ワインの好みも雰囲気の好みもそれぞれ。個性と魅力あるワイナリーの中から、今回は、リポーターが宿泊した先の女性イチオシの(多分、行きやすさもイチオシ要因の)ワイナリーと、人気のピザを提供している家族連れでも行きやすいワイナリーを紹介したい。

Sandbanks Estate Winery サンドバンクス・エステート・ワイナリー

2000年創業、古参ワイナリーの一つ。種類が多く、受賞ワインもいくつもある(下の写真)。

ロゼ系が4種類もあるのも珍しい。5月から10月までは日に3回(10:30am、12pm、2pm*天候による)、無料のワイナリーツアーを提供している。地元産のチーズや、ちょっとしたデリ(つまみ)を置いてあり、ピクニックエリアでワイングラス片手に寛ぐ人たちの姿が多い。屋内には地元アーティストの絵が飾られ、外にはカラフルな椅子がならび、色彩に溢れている。ロイヤリスト・パークウェイ沿いで、アクセスも良い。年中オープン。下記ウェブにテイスティング(試飲)のクーポン有り!

【ウェブサイト】www.sandbankswinery.com
【住所】17598 Loyalist Parkway, Wellington, Ontario

Norman Hardie ノーマン・ハーディ 

幹線から外れたカントリーロードの奥にある。トロントの名門フォー・シーズンズ・ホテルで7年間ソムリエとして活躍していたノーマン・ハーディさんがオーナー兼ワインメーカー。自分ならではの高品質ワイン、特に美味しいピノ・ノワール作りを目指し、世界各地のワイン産地で学んだのち、ピノ・ノワールに最適なこの地でワイナリーをオープンしたという。数種類のワインがあるが、オーナーのイチオシはピノ・ノワール。そしてシャルドネ。「卓越した質」と誇っている。ワインと相性の良いピザがポピュラーで、ランチタイムには平日でも混んでいる。テイスティングルームは年中オープン。レストランは初夏から秋まで。

【ウェブサイト】www.normanhardie.com
【住所】1152 Greer Road, Wellington, Ontario

Rosehall Run

カントリー風。ワインジャムなども販売。