一年に5つある『小の月』の中でも一番短い2月になりました。閏年を除けばピッタリ4週間しかないため、毎年他の月に比べてあっという間に過ぎてしまう月です。先月を振り返ると初旬にアメフトの全米大学選手権でアラバマ大学が優勝しました。ジョージア大学との準決勝では前半終了時に0-13、第3クォーター途中まで7-20とリードされ決勝進出が危ぶまれたものの、第4クォーター終了前4分を切ったところで20-20の同点に追いつき、最終的にオーバータイムにフィールドゴールで3点リードされた後逆転のタッチダウンパスが決まり26-23で薄氷の勝利でしたが、クレムソン大学相手の決勝戦は24-6と序盤から全く危なげない完勝でした。直近9年間で5度目の優勝という快挙で毎年メンバーの顔ぶれが替わるチームを率いるニック・サバンコーチもチームも今や大学フットボール界のレジェンドと言えるでしょう。中旬から月末にかけてはプロテニス今年最初のメジャー大会、オーストラリアオープンが開催され女子シングルス決勝では互いにメジャー初優勝とNo.1ランクを賭けた顔合わせとなり、フルセットの接戦の末ウォズニアッキ選手がハレプ選手を下して悲願の初優勝。二人共過去2度挑戦したメジャー決勝では負けており、どちらが3度目の正直になるかでしたが、惜しくも敗れたハレプ選手は4度目の正直を目指す事になります。今大会は昨年結婚・出産後長期休養していたセリーナ・ウィリアムス選手が欠場し、極端な話誰にも優勝のチャンスがあると見られておりましたが、早々に複数シード選手の敗退はあったものの、最終的にはNo.1、No.2シードの対決で幕を閉じました。男子シングルスでは、No.1シードのナダル選手が準々決勝で途中棄権したのは残念でしたが、決勝は本大会連覇を狙うNo.2シードのフェデラー選手とNo.6シードのチリッチ選手が対戦し、フルセットの末フェデラー選手が連覇。世代交代の流れも速くなりつつある感じで、ネクストジェネレーションと呼ばれる21歳以下の若手選手グループがシードの有無に関係なく躍動し、韓国のチョン選手とイギリスのエドモンド選手がそれぞれメジャー初の準決勝まで駒を進めました。準決勝では前者は途中棄権、後者はストレートセットで惜しくも敗れたものの、今シーズンのスタートは予想以上の結果となり、A.ズベレフ選手やキリオス選手など他の若手選手と合わせて今後も注目されます。残念ながら日本選手は今大会男子、女子ともシングルス初戦、2回戦で敗退となりましたが、ほぼ同時期に米国で開催された下部大会にNo.1シードで半年以上振りに出場し、初戦で敗退となった日本のエース錦織選手も含めて今月、来月と米国カリフォルニア州、フロリダ州などのハードコートで開催のマスターズ大会やそれに続く春先のクレーコートシーズンではベストコンディションでの奮闘を祈りましょう。

さて、今回のテーマは『政治とスポーツ、伏魔殿の話』です。

皆さんご存知のように、今月9日から25日まで韓国で平昌冬季オリンピックが開催されます。北朝鮮問題で揺れる不安な政治情勢の中、いまひとつ事前の盛り上がりに欠ける感がありましたが、ここ2~3週間の間に北朝鮮が代表団を送り込むとか、南北合成女子アイスホッケーチーム結成や同チームの開会式入場時には朝鮮半島統一旗が使われる事が合意された、とのニュース報道がありました。

北朝鮮のオリンピック参加は現時点で世界的に最大の不安要因である核開発や核実験、ICMBの発射テストなど一連の政治的・軍事的示威行為に比べて、極めて平和的・友好的で本来ならば歓迎されるべきでありますが、韓国への事前視察団の送り込みの話が発表後一旦取り止めになったり、再度実施になるなど2転、3転したり、目的がはっきりしないとか、紆余曲折がありました。本来政治とスポーツは切り離されるべきですが、オリンピックやサッカーの国際試合での人種差別抗議や相手チームまたは個人への非難、NFLフットボールの試合開始前の国家斉唱時に一部の選手が起立せずに跪くなどスポーツシーンに政治的言動が持ち込まれる事が時々あります。今回の北朝鮮代表団送り込みが純粋にスポーツに特化したもので他意がなければ良いですが、4年に一度の平和の祭典であるオリンピック開催中やその前後に何も事件・事故が起こらぬ事を願います。

また、朝鮮半島の緊張緩和、平和維持の大目的のために北朝鮮との融和を図りたい現韓国政権が描く政治行為とは別問題ですが、南北合成チームで試合に臨むとなると今まで厳しい競争を勝ち抜いて単一チームとして選抜され、オリンピック出場を夢見て長期間真剣に練習して来た韓国代表団の中には合成チームのレギュラーになれずベンチ控えとなってしまう選手が何人か出て突然の不幸な境遇に不平・不満を持ち、それが合成チームの士気の低下やチームとしてのまとまりを崩してしまう恐れがあります。何とか選手全員の努力が報われるといいですね。

当地米国ではトランプ大統領就任後丸1年が経過しましたが、伏魔殿と化したホワイトハウスとトランプ政権、与党共和党には新年早々から黒煙が昇り、暗雲が垂れ込めています。

先陣は新年度政府予算案の議会審議・可決、大統領署名、発効推進でしたが、本予算確定には時間が足らず、去る1月19日に期限切れとなったオバマ前政権からの暫定繋ぎ予算に代わる同様の予算案が下院は通過したものの、当初は共和党内の一部反対者や民主党の支持数不足で上院で可決に必要な60票に至らず、期限切れ前に間に合わず一部の例外を除き米国政府機関が全面シャットダウン(機能停止)となりました。また、就任式1周年記念日である翌1月20日には全米各地で女性に対する性差別、性的虐待、セクハラ反対と女性の人権擁護を訴えるトランプ大統領と政権に抗議する集団行進が見られました。天気が良かった事もあり、大規模な参加者人数に

なりましたが、自己中で負けず嫌いのトランプ大統領はこれらがあたかも自分の大統領

就任1周年を祝う人達の行進であるように錯覚させるようなツイートを発信していました。

その後利害が反する対立政党の意見取りまとめや人心掌握が出来ない大統領は抜きで共和・民主両党リーダーの協議と両党有志の妥協・折衷案提案が功を奏し政府機関のシャットダウンは3日で収まりましたが、メキシコとの国境に作る壁の建設予算確保、合法・非合法問わず移民制限に固執する大統領とDACA或いは通称ドリーマーと呼ばれる親が非合法で子供の時に米国に連れて来て既に大人となり政府機関や企業の幹部や開発研究者、学校の先生、医療関係者などとして米国社会に貢献している数十万人の移民の在米既得権やCHIPと呼ばれる親が生活保護受給対象にはならない収入はあるが十分な医療サービスが受けられるレベルでない子供達の医療費補助システムとその予算を確保したい民主党の間にはまだまだグレー(曖昧)な部分が残っています。予算に関しては暫定繋ぎ予算の期限切れが来るのがはっきり分かっていながら、予算案作成・審議や両党間の事前協議・調整・合意の開始・進行が毎回遅れて毎年のように同じ様な茶番劇の繰り返しです。大統領も政権幹部も上下院の議員達も納期を守れるようにきちんと計画して仕事をしていない、任務を遂行していないと言う事です。特に国家の最高責任者である大統領の責任感とリーダーシップ能力の欠如が共和党内や選挙時にトランプに投票した支持層からも非難されています。私の職業柄、彼らのJob description(職務記述書)があるなら一度見てみたいものです。

また、トランプ大統領が選挙キャンペーンに入る直前にラスベガスで出会ったポルノスターの女性とのスキャンダルを隠蔽するために彼の弁護士が高額の口止め料を間接的に支払ったという抜き打ち報道まであり、選挙活動資金の不正使用ではないか疑問視されています。ファーストレディーであるメラニア夫人はこれに怒ったのかどうか二人の結婚13周年を祝った直後夫が出掛けたスイスのダボス会議行きには同行せず、フロリダに留まったままで世間は何があったのか?彼女は何処で何をしているのか?と首を傾げました。

更に追い討ちを掛けるように、先月下旬には現トランプ政権の現役幹部であり、選挙活動中にはトランプ候補者(当時)の支援活動をしたり、ロシア要人と面会した事実があるジェフ・セション司法長官がロバート・ムラー特別検察官のインタビューを受け、次はいよいよトランプ大統領自身にもロシア疑惑とコーミー前FBI長官解任の経緯が焦点となりそうなインタビューを実施すべく、大統領の弁護団とインタビューの形式、スケジュール、質問内容など事前摺り合せ協議に入っているとの報道や昨年6月に大統領がムラー特別検察官を解任するように指示していたとの直近報道がありました。弁護団はインタビューを受けないようにさせたいところでしょうが、トランプ大統領自身は

「受ける、受けたい」と発言しており、彼の性格上逃げられないところでしょうか?そうなった場合、大好きないつものツイートの調子で後先考えもせずにムラー特別検察官の質問に答えたりすると過去の自分の発言や先にインタビューを受けた他の取り巻きメンバーの証言との食い違いが出たり、嘘を見破られて窮地に追い込まれるのではないかと思います。

「これは史上最悪の魔女狩りだ。ロシア疑惑はフェイクニュースだ。共謀・結託の事実はない。」と叫び続けて来たトランプ大統領ですが、何も罪のない人を難癖付けて追い立て、排斥するのが魔女狩り。実際に悪事を働いた人を糾弾し、罪を問うのは正当な悪人狩り、罪人狩り。さて、彼の場合はどちらでしょうか?

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。