あっという間に8月に入り、夏休みも残るところあと1か月となりましたが、皆様、どのような夏をお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。まだまだ暑い日が続いている今日この頃ですが、今月の7日には立秋となり、暦上では秋の訪れを告げています。そろそろ秋学期に向け、調節が必要となる時期ではないでしょうか。

季節などの環境的変化、新学期などの状況的変化、または、時として、人生がひっくり返ってしまうような大きな変化など、私達は様々な変化と対応しながら生活しています。人生において、何かが変わっていく、何かが起こるというのは常であり、それらにうまく対応していくことは私達の心身の平静を保っていく大切な要素ではないでしょうか。

今月は一昔前アメリカでベストセラーとなったWho Moved My Cheese? というビジネス寓話本を参照しながら、変化との対応についてお話ししていきましょう。

〝Who Moved My Cheese″というその名のとおり「誰が僕のチーズをどこにやったんだい?」というお話です。物語の登場人物は2匹のねずみと2人の小人。この2組が迷路を模索しながら、毎日のようにチーズを探し歩きますが、なかなか満足するチーズが見つかりません。とある日、2組ともそれぞれ膨大なチーズの在りかを発見します。「やった~、一生分のチーズが見つかった。これでお腹を空かすこともなくなった。」と大喜びします。しかし、また、ある日、いつものようにそのチーズの在りかに行ってみると、チーズの山が跡形もなく消え去ってしまいます。2組ともその変化に大きな衝撃を受けます。物語はチーズの発見、チーズの消滅といった変化への登場人物のそれぞれの反応・対応について書かれています。

変化をありのまま受け止める者もいれば、そうでない者もいます。チーズが見つかったことで将来の夢を描き出す者、働くことをやめてしまう者、また、いつもと変わらず、チーズ探しに出かける者もいます。チーズが消えてしまった際には、怒り狂う者、不公平なことだと嘆き悲しむ者、被害者意識からぬけられず、お腹はペコペコなものの前に進めなくなってしまった者、または、よいしょと腰をあげて、チーズ探しに出かける者がいたりと様々です。また、変化に対して、原因の追究・分析に時間を費やす者もいれば、反対に、何事もなかったように対応する者もいます。

しかし、なかなか即座に色々な思いを振り切り、何事もなかったように再びチーズ探しに出かけるのは容易なことではありません。私達もこれらの登場人物の思いと共感できる部分があるのではないでしょうか。私達も一夜に大切なチーズが跡形もなくなってしまったらショックから立ち直る時間が必要だったり、また、このまましばらくここで待っていれば、チーズが同じ場所に現れるのではないかと希望的観測をしてしまうことではないでしょうか。

また、いざ、新しいチーズの旅へ出ることを心に決めたとしても前回のチーズ旅の苦労を思い出し、新しい旅への出発に戸惑いを感じてしまうこともあるでしょうし、チーズを探しに出かけたところで、また、チーズが見つかる保証はないわけで、また、新しい旅に出たためにやっかいなことに出くわしたり、何らかの大きな試練や不幸に遭遇する可能性もあり、新たなチーズ探しに躊躇してしまうこともあるではないでしょうか。

更に、このお話の登場人物のように私達もチーズが発見できたから良い変化である、また、チーズがなくなったから悪い変化であるなど、物事を判断したり、批評しがちなところはないでしょうか。また、このお話の登場人物はいつからか〝チーズ=幸せ″という解釈してしまい、その結果、新たな変化が起こった際に大きな動揺を覚えることになりますが、私達も何々を持っていれば幸せである、何々が不足しているから不幸だとか、自らの思考を固視してしまい、自らの選択を制限、また、自らを雁字搦めにして動けななくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

ところで、お腹がぺこぺこになっても変化に対応できなかったという登場人物についてですが、彼はチーズがなくなってしまったというショックから立ち直ることができず、継続して変化への強い抵抗感との葛藤が続きます。このような場合、チーズがなくなったというただ単なる変化への反発でなく、自分の中に抱えている心の問題の投影であることが考えられます。自分もこのような傾向にあるという場合、今後、様々な変化と上手に対応していくために、まず、その心の問題を解決することが大切となるでしょう。

どのような変化であれ、変化というのは良し悪し何らかの分岐点です。何が待ち構えているかわからない道に足を踏み入れるわけですから、誰しもが戸惑いを感じるものですが、変化との上手な対応方法として、まずは変化をありのままに受け止めることが大切となるでしょう。私達の多くがつい人生に起こる様々な出来事をコントロールしようとしがちです。そんな思いから自分を解放してあげ、広い心で出来事をありのままで受け止め、対応していくことは心の平静を保っていくひとつのコツではないでしょうか。

残念ながら、誰にも人生の全容地図は見えません。チーズが見つかった、なくなったというのは人生の一片にしかすぎず、表面上、喜ばしい出来事、一見、悲しい出来事もそれが後にそれがどのようなものへとつながっていくのかわかりません。ゆえに、随時、様々な変化に良い悪いなどのラベルを貼ったり、逐次、批判批評していては心は苦しくなるばかりです。時として、Let it goと自分の心に声をかけてあげましょう。ありのままに物事を受け止める練習をしてみましょう。最後に今回のお話のまとめとして、またひとつお話をご紹介して、今月号を締めくくることにしましょう。

昔々、ある所にある農夫がおりました。ある日、その農夫の馬が逃走してしまいます。心配した村人たちが大切な馬がなくしてしまってこれからどうするのじゃとその農夫に尋ねます。農夫は「そうじゃな、どうなるかな。」とのんびりとした口調で答えます。しばらくするとその逃げ出した馬がたくさんの仲間を連れて戻ってきます。村人たちは君はなんてラッキーだな~とその農夫をうらやみますが、農夫は「そうかもしれんけど、そうでないかもしれんな。」と答えるのみです。また、ある日、その1頭の馬に乗った息子が馬から転落し、足の骨を折って動けなくなってしまいます。働き手が減ってこれからどうするのじゃと村人がまたその農夫のところやってきますが、その農夫はまた「そうじゃな、どうなるかな。」と何事もなかったかのように答えるのみです。そんな中、戦争が始まりその村に若者を軍隊召集にきます。その農夫の息子は足を折れているため、召集されません。また、村人はその農夫に君はなんてラッキーなんだとうらやみますが、その農夫は「そうかもしれんし、そうでないかもしれんな。」とぽつりと答えます。

こあきバイヤーズドルフ

Lifescape Counseling LLC のオーナー、メンタルヘルスカウンセラー、クロスカルチャーコンサルタント。日本語にて様々な心のケアサービスを提供。

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