まだまだ寒い日のあるミシガンですがそんなミシガンにもようやく春の兆しが見え隠れし始めました。あちらこちらで木々に芽が吹き出し、草々も萌え出し、柔らかい日差しの中に春の息吹を感じられるようになりました。

ミシガンに住んでいると、この時期〝生″というものがとてもまぶしく感じられます。様々な植物や生きものたちが一斉に息を吹き返し、その命が活動的に成り始める姿を見ていると、命の尊さというのものに気づかされます。また、その尊さや儚さゆえに、無常を感じることもあるものです。特に最近、身近に死を体験された方は瑞々しい命が満たされる春がとても痛々しく感じられることではないでしょうか。

「命あるものには死がある」と気づかされるのは心地のよいものではありません。死と聞くだけでもなんだか心の中に不安な思いや戸惑い感が生じるという方が意外と多いのではないでしょうか。今回は最近、身近に死を体験された方に焦点をあてながら、死に関する思いとどのようにつきあっていくかをテーマにお話ししましょう。

大切な人を亡くすというのは本当に心身共に打ちのめされ、なんともいえない気持ちになるものです。悲しみはもちろんのこと、絶望感や孤独感など様々な感情がとめどなく溢れてくるものです。どうしてこんなことになってしまったのかという口惜しさや怒り、どうしても納得いかない無念な思いなどの心の葛藤や痛みにどのように対応していけばよいのか困惑してしまいうものです。

誰の優しい言葉も慰めにならず、目の前でまるですべての夢や希望が粉々に崩れ落ちてしまったように感じてしまったり、まるで人生が終わってしまったかのように思えてしまうこともあるのではないでしょうか。とにかく気持ちが重く、何をするのも億劫に感じられるなど、大切な人を失うとしばらく意気消沈してしまうものです。

また、どんなに素晴らしい家族や友人が周りにいたとしても、その亡くなってしまった人との関係は置き換えることができない、二度とない関係であるため、虚無感に襲われるものです。更に、最近体験したその喪失がある心の傷と連結してしまうことがあったり、過去のとても悲嘆な喪失経験を呼び起こすこととなってしまったりと気持ちが複雑化してしまうことも起こりかねるでしょう。

喪失経験をすると多かれ少なかれ、残されたものは心の状態が変化してゆく悲嘆のプロセス(グリーフワーク)なるものを経ていきます。悲嘆プロセスを歩むのは自然なことですが、心身ともにとてもエネルギーを消耗する作業です。また、グリーフワークというのはとても個人差があります。人それぞれ亡くなった方との関係も異なるでしょうし、また、各喪失の持つ意味というのも異なることでしょう。ゆえに、今回の喪失に対する悲嘆プロセスは前回の喪失の時と全く異なる体験をされる方も多いのではないでしょうか。

個人により様々ですが、各喪失に終幕感を抱けるようになるまでとても時間がかかるものです。なぜなら、グリーフワークというのは大切な人を失った悲しみからの克服だけではなく、今までの自分の人生を振り返るという作業が生じたり、自分のアイデンティティなるものの再定義を強いられることがあるゆえです。

また、自分の意思ではなくとも大切な人を失ったことにより、自分の在り方、また、様々な状況を変えざるを得なくなることもあります。その作業過程は長期に及ぶ作業となるであろうし、とても四苦八苦な道のりとなることでしょう。更に、グリーフワークの過程で大切な人を亡くした悲しみの中に隠れている問題が見つかることもあり、それらの問題に取り組む必要性が生じることもあるでしょう。その他、死というものへの漠然とした恐れとの対面、または、生きるという意味の探求など存在論的な問いに直面してしまうケースもあるでしょう。

喪失に終幕感を抱くには、どこかでその喪失について話すこと、自分の持つ様々な気持ちと向うこと、その気持ちや思いを認識して受けとめてあげることなどの作業がとても大切となります。そのようなグリーフワークを行うことにより、少しづつ混乱した心の整理をしていくことができ、また、喪失の痛みや苦しみというのも常にヒリヒリ痛む状態ではなく、形を変えていくことが可能となるでしょう。

アメリカではホスピスを通してグリーフカウンセリングを提供されることが多くあるかと思います。また、アメリカでは、個人、又は、グループグリーフカウンセリングというものも各地に数多く所在します。グリーフワークはもちろん個人で行うことができますが、悲嘆プロセスが複雑化しないよう、専門家の知識・サポートとともに安心して様々な思いを表現できる場、カウンセリングなどをご利用なされながら、自分を再生してあげることもよいのではないでしょうか。また、グループカウンセリングの場合、同じ境遇の人と思いを分かち合うという機会も得られます。

命溢れる春、その朗らかさや快活さとは裏腹に春というのは何かと心身の調子を崩しやすい時期です。ご自愛くださいませ。

こあきバイヤーズドルフ

Lifescape Counseling LLC のオーナー、メンタルヘルスカウンセラー、クロスカルチャーコンサルタント。日本語にて様々な心のケアサービスを提供。

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